毎月江の島の潜水調査に行っていますが、今回は同じ江の島でも少し違う方向に向かって潜ってみました。
今回潜ったところは水深 15mほどで、いつもよりちょっと深場。 水深 10mを超えたところから、いつもの江の島の雰囲気とはちょっと変わってきて、周りが泥っぽくなってきました。
浅場で見られるナンヨウヤギの仲間とは種の違うナンヨウヤギがちらほら見えだし、紫色のトゲトサカの仲間も多く見ることができました。 海藻などはほぼない環境で、これらの種は、ボートダイビングをしたときに見かけたことがありますが、ボートを使用しないダイビングでは初めて見ました。 このくらいの水深のところにもいるんですね。 逆にこの水深になると、浅場で見られるサンゴ類が少なくなります。
たかだか 10mから 20m程度の水深でも生物相の違いがよくわかります。
魚類はクロホシイシモチ、大型のシロメバルを確認しました。 基本的に今回は魚影が多かった印象です。 クロホシイシモチ、マイワシ、ゴンズイ、ハタンポの仲間など多くの魚の群れを見ることができました。 周年通して潜っていると、魚影から季節ごとの違いを感じとれます。
今回の潜水調査で、新しく発見した種がいました。
一つは、いるだろう、いるだろうと思っていた「キクメイシモドキ」。
もう一つは、ノウトサカの仲間。
これもサンゴの仲間ですが、おそらくユビノウトサカだと思っていますが、詳細はよく確認しないと判断できません。
実はこのノウトサカの仲間を見つけたのは、これまで何度も潜っている所。 見かけた群体は直径1cm から大きいもので3cm 程度。 推定ですが、着生してから1年から2年くらい経過していそうな気がします。 なぜ今まで気が付かなかったのか・・・・ 実際なぜ気が付かなかったのかわからないくらい、そこら中で確認できました。 もしかするとここ最近急に増えたのかもしれません。
そうなると気になるのは海藻との関係です。
サンゴが増えれば、サンゴが海底を覆っていき、そこに海藻は生えません。
反対に、このノウトサカの仲間は体内に褐虫藻を持っており、褐虫藻が太陽の光で光合成してできた栄養をつかって成長しています。 つまり、海藻だらけだと海藻で光が遮られ、サンゴが育ちません。
サンゴか、海藻か、縄張り争い中なのでしょうか。
最近は、年々サンゴが北上している話を聞きますし、実際に相模湾でもイシサンゴの仲間(サンゴ礁を形作る硬いサンゴ)の分布が広がりつつあります。
今後もこのノウサンゴの仲間の拡大に注目していきます。
浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら
どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。
打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。
浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。
どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。