2025年07月31日

D-ARK 航海 2025(15)
調査終了とその後

  • 期間:2025年 7月 2日(水)〜 8月 3日(日)
  • 場所:九州・パラオ海嶺、大東島周辺海域
  • 目的:深海石灰岩洞窟における遺存種の把握とその分類学的研究
  • 担当:八巻


みなさんこんにちは! 八巻です。
長かった航海もついに終了の日がやってきました。

7月31日、私含め船に残る一部を除き、研究チームは15時に通船でJASMTEC横須賀本部へ下船することとなりました。

下船する方々が通船へ乗り込む下船する方々が通船へ乗り込む

通船でJAMSTEC岸壁へ向かう通船でJAMSTEC岸壁へ向かう

終始台風に翻弄されたり、途中私含め一部緊急下船があったり、最後は津波の影響も受け、本当にいろいろなことがあった航海でした。

そんな中、航海と調査の遂行と乗船者の安全確保に努めてくださった「かいめい」キャプテンはじめ乗組員のみなさま、「KM-ROV」の運航に最善を尽くしてくださった運航長はじめ運航チームのみなさま、そして寝る間を惜しんで調査の調整に尽力してくださった首席、次席研究者の方々はじめ、たくさんの新たな発見や喜びを共に体験することができた乗船研究者のみなさま、この場を借りて、厚く御礼申しあげます。

航海中、研究者のみなさんが撮ってくださった写真から、航海のようすと共に 1か月を過ごしたみなさんのようすをご紹介します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、その後生き物の世話で船に残りましたが、うれしいことが 3つ!

1. 駒橋第二海山の水深1,079mから採集したポリプのひとつからクラゲが出ました!
専門家の方に聞いてみたところ、おそらくエボシクラゲ類だろうとのこと。

エボシクラゲ類?エボシクラゲ類?

2. 南大東島の「ピッグ・ノーズ」から採集したシンカイウミウシ属の一種。
糞をたくさんしていて、餌を食べているように思えます。取れてしまったとげとげも回復しつつあるように見えます。

シンカイウミウシ属の一種が再生?シンカイウミウシ属の一種が再生?

3. 駿河湾で「TPF2」のスラープガンで採集した付着性クシクラゲ類。
餌を食べています! 写真中央のオレンジ色の粒々が、胃の中に入っているアルテミアです。欠けてしまっている部分を再生してくれることを祈るのみ。

クシクラゲ類が餌を食べているクシクラゲ類が餌を食べている

以上を持ちまして、私の今回のKM25-06C 航海日誌としての筆を置かせていただきます。
最後までお付き合いくださいまして、ありがとうございました!
ご紹介した生物たちは順次展示予定です。ぜひご来場ください。


本プロジェクトは、日本財団の支援を受けて笹川平和財団海洋政策研究所が実施する「オーシャンショット研究助成事業」により助成を受けたものである。
オーシャンショット研究助成事業は日本財団の助成を受けて笹川平和財団海洋政策研究所によって実施されている。

・JAMSTEC(国立研究開発法人 海洋研究開発機構)KM25-06「かいめい」/「KM-ROV」 D-ARK 航海
・新江ノ島水族館は、JAMSTECと深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究をおこなっています。

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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