2025年10月21日

江の島潜水調査/ 10月

  • 期間:2025年10月21日(火)
  • 場所:江の島周辺
  • 目的:潜水生物調査
  • 担当:山本・西川


なんと、9月は天候に恵まれず、2か月ぶりの江の島潜水調査となりました。私にとっては 5か月ぶり… 夏越えて秋の江の島のようすをお届けします。

当日は結構強めの北風が吹いていましたが、タイミング的に潮が引いていたこともあり、意外なことに海は穏やか。これならいける! と、西川トリーターと共に潜水開始です。

透明度良し!! 前回潜った時は透明度がかなり悪く、生き物に夢中になっているとはぐれてしまうような感じだったのですが、今回はまるで別の世界です。

いつものヤギ類の観測点にも一発でたどり着くことができ順風満帆。さて、測定開始! 今回私はこのポイントで見つけたい生き物がいました。

いたいた! それがこの「ベニキヌヅツミ」。一見何なのかよくわからないですが、本種は巻貝の仲間で八方サンゴ類に寄生し、宿主の組織を食べて暮らすことが知られています。江の島ではナンヨウヤギ属の一種(写真の赤いやつ)によく寄生しているようで、ヤギを採集したつもりが、このベニキヌヅツミも意図せず水族館に連れてきてしまった! なんてことが何度かありました。やっと海の中で存在を認識することができました。とても美しい貝なので、いつか展示したいなーとひっそり考えています。

それにしても、このナンヨウヤギはハナヤギウミヒドラ(白いやつ)やベニキヌヅツミ、クモヒトデの仲間(しましまのやつ)など、いろいろな生き物に寄生されていますね…(寄生じゃないかもですが後ろにウミシダもいます)。たった 10㎠のなかでもさまざまな生き物が関わりあって生きているのです。

さあ、ここからは「今」の江の島にどんな生き物がいるのか、見ていきましょう!

4cmくらいのゴンズイが群れになっていました。私たちはこの状態を「ゴンズイ玉」と呼びます。この前別件で東伊豆の海で潜った時、インストラクターの方が「ゴンズイ玉が久しぶりに帰ってきた」とおっしゃっていました。ここ数年、海水の影響かあまり見ることがなかったようなのですが、江の島の海でも見ることができてなんだかうれしい気持ちになりました。

そして今回は 10cmくらいのイシガキダイの幼魚がたくさん見られたのが印象的でした(同じサイズのイシダイもいました!)。相模湾大水槽のイシガキダイもそうですが、この種は強気でダイバーとの距離が近い気がします。あんまり逃げないので近くで映像を撮ることができて私的には大助かりです。

これは! ノウトサカの仲間! 前回の調査で園山トリーターと八巻トリーターが言っていたのはこれですね! 確かに、今まで全然気が付きませんでしたが、探し始めるとたくさんいました。個人的にはこれに付くクラゲムシの仲間(コマイクラゲムシ)を見てみたかったのですが、今回は見つからず…! 次回の目標ができました。

相模湾大水槽でもおなじみのクロホシイシモチ。岩陰にも数えきれないくらいたくさんいました。産卵期とは少しずれていたのか、オスが抱卵しているようすは見られませんでした…。

ウミウシのみなさん(左上:シラユキウミウシ、右上:アオウミウシ、左下キイロウミウシ、右下:ムカデミノウミウシ)。久しぶりに私の好きなムカデミノウミウシがたくさん見られました! 夏は大きくても 2cmくらいの小さなものがほとんどだったようですが、今回見たのは 4cmくらい。立派に成長しておりました。冬や春によく見られたおなじみのシロウミウシは一個体も見られませんでした。


今回で確信しましたが、ハコフグはやっぱり隙間が好きですね!! 波に揺られて行ったり来たり。今回はハコフグだけでなく、スズメダイやイシガキダイの幼魚も見られました。餌となる生き物が集まる…のかな…?


割といつも同じ場所にいるミズホハタンポの群れ。これを見ると、いつも「崖の上のぽ〇ょ」を思い出します。光が差し込むと本当にきれいで、これが水槽で見られたら最高だろうなあ…。


今回も動画を作ってみました! 魚たちもとてもにぎやかだったので、自分的には結構楽しい映像になったのではと思っています! これを見て少しでも今の江の島の海を感じていただけたら幸いです。


なんだか最近一気に涼しくなり、ウェットスーツで潜るのが辛くなってきました…。まだ水中は良いのですが、陸に上がった後の風が冷たくて冷たくて…震えます。しかも今の時期って微妙で、自販機にホットが無い! 次から必ずお湯を持っていこうと思います。
それでは、次回の潜水調査もお楽しみに! 11月も潜れますように!!

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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