2025年10月03日

燈明堂海岸 調査採集

  • 期間:2025年10月 3日(金)
  • 場所:神奈川県横須賀市 観音崎海岸
  • 目的:生物調査採集
  • 担当:園山・吉田


毎月恒例のようになっているアマモ場調査ですが、そろそろ今年度最後になりそうです。今回は燈明堂海岸から 3kmほどの場所にある観音崎海岸でおこないました。私にとっては 3か月ぶり 2回目の観音崎です。 6月に採集に来たときは、燈明堂に行くついでに立ち寄っただけだったので、長靴で入れる場所をささっとのぞいた程度でしたが、今回はウェットスーツを着てがっつり水中のようすを見てきました!

観音崎観音崎

天候はくもり、気温 23℃、東の風が吹いておりやや波あり。安全に気を付けながら採集をおこないます。
余談ですが、えのすいの魚類チームには何かと嵐を呼ぶトリーターがいるとかいないとか…(このフィールド調査日誌をよく見てくださっている方はお気づきかもしれませんね。)幸運なことに、今年度の私のフィールド調査は今のところ打率10割です!

ポイントまでの海岸を歩いていると、打ち上げられた海藻やミズクラゲに混ざってアマモの切れ端を見つけました。アマモが生えていると聞いて来たものの、もしかしたら衰退しているかもしれない…と若干の不安を抱えていたので、打ち上がったアマモの葉を見て少しほっとした気持ちになりました。

前回水面から見たときの記憶を頼りに、まずはコアマモが生えていた場所を目指して砂浜から沖へ向かって泳いでいきます。

しばらく一面平坦な砂地が続く中、砂の中からはネズッポの仲間が顔を出していました。

この写真に写っています。見つかりましたか?

ここです!

上手に砂に隠れていますね。
採集中よく見かけ、水族館に連れて帰って調べたところ、今回のポイントで採集できたのはネズミゴチとトビヌメリでした。

平坦な砂地からだんだんと岩場や海藻が増えてくると、今度は砂の中にたくさんのミズヒキゴカイ。燈明堂のアマモ場でもおなじみですね。

ミズヒキゴカイミズヒキゴカイ

そして、さらに沖へ進むと・・・
ありました!! アマモです!!

ふと前方を見渡すと、燈明堂ほど密生はしていませんでしたがアマモ場が広がっていました。さらに、一部コアマモが生えている場所も。この付近ではキュウセンやカミナリベラなどのベラ類、ニジギンポ、メバル類、クロサギなどが次々と姿を見せてくれました。

キュウセンキュウセン

アマモ自体は燈明堂同様、アイゴにかじられてしまった後のようで、葉の長さはやや短めでした。アマモの状態やアマモが生えている場所の環境を観察して、展示水槽でのアマモ育成のヒントを探します。

同じ東京湾のアマモ場ですが、燈明堂ではハゼの仲間やアミメハギがよくみられるのに対し、観音崎ではネズッポ類、キュウセンやカミナリベラなどがよく目につきました。
燈明堂から直線距離にして 3kmほどしか離れていませんが、生物相は若干異なるようです。
きっと春から初夏に潜ってみたら、また今とは違った生き物やアマモのようすがみられるのではないかと思っています。来年の春の楽しみにします!!


※今回の採集は、事前に横須賀市東部漁業協同組合に許可をいただいたうえで実施しています。

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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