2007年03月09日
トリーター:戸倉

「しんちゃん」海にかえる!

今朝の新聞の一面に、とっても嬉しい記事がありました。
「キタオットセイ」に関しての内容だったのですが、みなさんは、昨年 9月に埼玉県川越市の水田で保護された「オットセイ」のことを覚えていますか?
発見当時は衰弱し、体重も 23kgほどだったそうですが、「しんちゃん」(雄)と名付けられ鴨川シーワールドでリハビリをし、倍ほどの体重になったそうです。
そのオットセイがきのう( 8日)銚子の沖合い(約 17km)に放流され、海に帰って行った・・・という記事でした。
保護された動物が再び自然界に戻るというのはなかなか難しく、保護された時点で衰弱しきっていることが多いので、たとえ生き続けたとしても自然界に戻せる体調では無く、このまま保護し続けた方が長生きする可能性が高い、というケースがほとんどなのです。
では、なぜこの様に迷い込んでしまうのでしょうか?
アゴヒゲアザラシの「タマちゃん」の記憶もまだ新しいと思います。このような海の動物は規模の違いこそありますが、地球規模での回遊をしています。クジラもそうです。

今回のキタオットセイは、日本近海から北太平洋などに分布しており、その中で南下したり北上といった回遊をしています。キタオットセイは、ちょうどこの時期、北太平洋から南下するのですが、鴨川シーワールドでも 2月中旬に野生個体の南下を確認したので、しんちゃんの放流を決めたそうです。
南下といっても南限は常磐沖から銚子沖程度といわれておりますが、まれに南下し過ぎて房総半島を越え相模湾沖まできてしまい、今度北上する時に房総半島を越えて北上する所を、三浦半島を越えて北上してしまうと東京湾に入ってしまうのでしょう(わなのように)。
実際に過去 12年ほど前に江の島の岩場でキタオットセイが保護されたこともありました(その時は衰弱しきっており助かりませんでしたが・・)。
“オットセイ”はよく耳にする名前だと思いますが、実際に見る機会は少ないはずです。それは、今回のキタオットセイに関しては、本州では静岡の「伊豆三津シーパラダイス」と、ここ“えのすい”の 2園館でしか飼育されていないからです。
みなさんもぜひ、“えのすい”のキタオットセイ「スバル」に会いに来てくださいね!!

キタオットセイ「スバル」キタオットセイ「スバル」

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