セミの声がだんだんとコオロギに押され始めましたね。
数週間ぶりに沖縄の長期出張から戻ると、暖かい海のサメ水槽に新しい魚が仲間入りしていました。
「ネムリブカ」です。
私にとっては思い出深い魚です。
11年ほど前、釣り友達と一緒に小笠原諸島に行った時のことです。
初めての釣り場でしたので、やや頑丈な竿だけを携え、現地の釣具屋で餌のオキアミと冷凍ムロアジを買い込み、釣りスタート。
オキアミでふかせると当館でもお馴染みのイスズミ、ロクセンスズメダイが、やや深い所にアジの切り身を沈めるとアカマツカサが面白いように釣れました。
当時はみんなヤンチャで体力があり余っていたので、ほとんど寝ずに滞在時間を惜しむように釣り続け、餌と仕掛けを大きくして、より大型のハタ狙いに切り替えたり、メタルジグで大型アジ類を狙ったりしてました。
そうして数日が過ぎた夜中、突如やってきたものすごいひき!キツめにしめたドラグが唸り逆回転しながら沖へと一直線!イシダイ釣りにも耐える仕様の釣糸(PEライン)があっさりぶっち切られました。
まだいるかも知れないと再度アジ 1本掛けで待つと、またもやあの「ひき」、友人の駆け引きの巧さで水面に姿を見せたのは 1mほどのサメでした。
網に取り込もうとした直後、竿が一瞬で9の字にしなり、ボッキリ。恐るべきパワー、同サイズのドチザメの比ではありません。これは生半可な竿(といっても、シイラやヒラマサに対応した竿だったかと?)では無理か!ということで、私が節操なくロープに餌をつけて勝負です。
アタリを見逃せば根掛かり必至、ガツンと来たと同時に友人が全力でロープを引き寄せ、ついに対面となりました。
牙を剥き出し、押さえた友人の剛腕の筋肉をきしませるほどの暴れっぷり、きのうのことのように脳裏に蘇りました。
・・・ と、本当は凶暴なサメではありません。
恐るべきパワーを内に秘め、普段はやさしいのんびり屋です。
ひれ先が白いのが特徴で、昼間は洞穴などで集団で眠り、夜間に活発に泳ぎ回る性質。
当館の個体も朝一番の餌の時だけツマグロばりにぐるぐる泳ぎ回ります。
泳ぐ本種を見たい方は開館と同時にサメ水槽へおいでください。