2010年01月24日
トリーター:伊藤

本物っぽい偽物の砂・偽物っぽい本物の砂


水族館に来ると、当たり前ですが生物に目が行きますが、今回はその舞台である底砂について、地味なお話です。

皆さんは江の島の岩や砂がどんな感じか、パッと思い浮かびますか?
大方、灰色や茶色のイメージではないでしょうか。
実際に見てみますと、砂はかなり黒いことが分かります。
砂地の展示を作るとき、本当ならば本物の黒い砂を使うべきなのかも知れませんが、当館では本物っぽいイメージを優先して白くて輝きの強い「硅砂」を使っている場所もあります。
そして、黒い湘南の砂を、深海コーナーの水槽や冷たい海の水槽にしいて、どんより冷たい雰囲気にしたりしています。

最近ちょっと試したことに「土くれっぽさ」の演出があります。小川や水田用水路の底には、岸辺から崩れた土が小石のように固まったものが結構含まれていて、温かみのある雰囲気を醸し出しています。
しかし、実際に水槽に土を入れてしまったら、濁ったりアクが浮いたり流されたりと大変ですから、なんとか土っぽく見えるような底材を探しました。
川魚のジャンプ水槽の脇にある小水槽や、今上陛下のご研究コーナーのタナゴモドキ水槽などが「土くれ舞台」お試し中となっています。
川の漁師さんや農家の皆さん、どうでしょうか?本物っぽさは出ているでしょうか。

観賞魚の本などを見ていると、小さな水槽の中に雄大な草原や山々を再現しているようなレイアウトを目にします。
それと比べたらまだまだです。より自然ぽい水槽舞台を作れるよう、精進したいと思います。

川魚のジャンプ水槽の小水槽川魚のジャンプ水槽の小水槽

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