2011年10月23日
トリーター:足立

ギョギョッと骨展~クラゲの骨?


骨のないものの代表のように言われるクラゲ。
クラゲの骨を見つけたら、それはものすごく珍しいこと・・・
むしろ、ありえないこと、という意味で、かの清少納言も「枕草子」の中で「海月の骨」という言葉を使っています。
その項、「第百二段 中納言参りたまひて」は古文の教科書や試験にもよく出るらしいですよ。
もともと骨はあったのですが、猿の肝を取り損ねた罰として骨を抜かれ、今に至る、というのはおとぎ話「くらげ骨なし」。ここでは、頭の良い猿に対して、クラゲはとても間抜けなキャラクターとして描かれています。
「毒があって刺す」という特徴には注目されていないところが、ちょっと珍しいですね。

もちろん、クラゲには骨はありません。
でも、「骨」の機能の一つとして、「体の保護や姿勢の維持」ということがあり、そのような役目を担っている組織なら、いくつかのクラゲには見られます。
タコクラゲの白い水玉模様や、サカサクラゲの傘の縁の白い縞模様は、軟骨状組織と呼ばれるもので、
「体を堅くする骨格のようなものです。
いわゆる補強材の役目を果たし、大きな傘を丈夫にするための工夫なのです。
まさにクラゲの骨折り努力いったところです。」
(技術評論社「クラゲの不思議」より)


水族館には、骨のない生きものもたくさんいます。
骨格標本になりえない生物たちが、どのように「体の保護や姿勢の維持」を行っているのか考えてみると、骨のスゴさと、骨なしのスゴさの、両方が見えてきて、「ギョギョッ」とすると思います。

関連日誌
ギョギョッと骨展~アザラシの場合~
ギョギョッと骨展~サメの顎~
ギョギョッと骨展~キングペンギンのホネ~

タコクラゲタコクラゲ


◎ギョギョッと骨展~時を超えた魚たち~
 2011年10月1日(土)~2011年10月31日(月)
 → 終了いたしました
[協力]
・大阪市立自然史博物館
・日本大学生物資源科学部付属博物館

クラゲファンタジーホール

RSS