2019年07月17日
トリーター:山本

国際ヒドロ虫学会ワークショップに行ってきました

6月後半に静岡県で開催された「第9回 国際ヒドロ虫学会ワークショップ(9th Hydrozoan Society Workshop)」に参加してきました。
ヒドロ虫とは、刺胞動物(いわゆるクラゲ)のグループの一つで、ベニクラゲやカツオノエボシが属しています。簡単に言うと、ヒドロ虫というグループのクラゲを研究している人たちの学会です(ちなみに表紙のクラゲはウラシマクラゲです)。
国際ということで、海外からも研究者の方々が日本に集まりました。また、今回はワークショップだったので、研究発表だけでなく、磯場や沖合での採集調査、研究室での観察会などなど、ヒドロ虫にまみれつくした一週間でした!
どんなことをしてきたか、写真でちょっとだけご紹介していきます。


乗船採集のようすです。プランクトンネットや底引き網を曳いて、みんなでヒドロ虫を探しました。20種類くらいのクラゲを見つけることができました。


磯で見つけたクラゲムシ(赤いぺったりしたやつ)の仲間です。岩の裏にくっついているところを観察することができました。こんな形をしていますが、ウリクラゲやカブトクラゲなどのクシクラゲの仲間なんですよ。


シュノーケリングで採集した底生性のヒドロ虫(ポリプ)です。海の中を泳いでいると、このような底生性のヒドロ虫が岩場や海藻の上など、そこらじゅうで観察されます。
「刺胞動物」と聞くと、クラゲばかりに目が行きがちですが、ポリプだって生態系の一員として、全力で生きているんだなと感じました。今後は、もっとポリプの魅力も発信していけたらなと思います。


私も“えのすい”のクラゲ担当代表として、研究発表をしてきました。テーマは「Study on Physalia physalis at Enoshima Aquarium(新江ノ島水族館でのカツオノエボシの研究)」です。
これまで試してきた飼育の方法や、人工繁殖の結果をざっと発表してきました。もちろん「カツオノエぼうし」をかぶって。海外の方たちも「Physalia hat(カツオノエボシの帽子)」といってかぶってくれました。世界進出です(笑)。
もしカツオノエボシについて興味がありましたら、ぜひ過去の日誌をご覧ください!

[ 2018/05/25 カツオノエボシの魅力その1【体の構造】 ]
[ 2018/07/01 カツオノエボシの魅力その2 【生活サイクル】 ]
[ 2018/07/19 カツオノエボシの魅力その3【赤ちゃん生まれました!】 ]

いただいたアドバイスをもとに、今年も飼育を頑張ります。

こんな感じで、ヒドロ虫づくしの一週間を過ごしてきました。
発表をしたことで、飼育のアドバイスをもらったり、気になっていたことを教えてもらえたり、さまざまな知識を得ることができました。しかし、みなさまに的確な情報をお伝えするには、もっともっともっと知識をつけなければ…!
今後も積極的に発表などなどしていきたいなと思ったのでした。みなさんも、興味がありましたらぜひ、もう一歩踏み込んだ「研究」の世界をのぞいてみてはいかがでしょうか!

クラゲサイエンス

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