2020年05月07日
トリーター:加登岡

作ってみよう

みなさんこんにちは。
当直の際に夜な夜なサメの顎の標本を作製したのでその作り方を紹介します。
独学で学んで、作成しているので、不備があるかもしれませんが、良ければみなさんも参考にして作ってみましょう。
必要なものをご紹介します。

準備する物
・サメ
・包丁
・解剖バサミ(切れ味の良い小さいハサミなら何でも大丈夫)
・ピンセット
・洗濯ネット
・穴の開いたトレー
・紐

今回、作成するのはコロザメです。体長は52cmほどの大きさです。
平べったい形が特徴のサメです。


それでは早速作り方のご紹介です。
まず始めに、顎が取り出しやすいように頭を包丁で落としましょう。
コロザメはワサビの擦りおろし器に使われるほど、鱗がザラザラしています。
そして、硬いです。なので包丁で落とすのも切れ味が悪いと苦労します。
また、切った後は切った後で包丁の切れ味も落ちるので、使った後は研ぎましょう。頭を落とす時に注意点!間違って顎を切らないように。外から触ってみると顎の骨がある部分(矢印の部分)が分かるので、そこより後ろ側で切りましょう。


因みにコロザメの鱗を拡大してみるとこんなにトゲトゲしています。まるでクリスタルみたいです。


頭だけにすることで手に持って作業ができます。
次に解剖バサミとピンセットを使って、地道に顎を取り出しましょう。
口角の部分からハサミを入れていき、顎に沿うように少しずつ頭から外していきます。この時、肉がついていても気にせず、骨を切らないように気をつけてどんどん大まかに切り取りましょう。
顎の周りだけを頭から切り外せたら、今度は周りの肉を切り取っていきましょう。ピンセットで肉をつまみながらちょっとずつ切り離します。口の裏側の肉もハサミで切って、後ろに控えている歯も見えるようにしましょう。写真の部分は普段は見えないようになっています。ここを取り除くと見栄えも良いです。サメの歯はどんどん生え変わります。それがわかります。


地道に切り離し、時々、指で肉をほじりながらきれいに顎だけにします。ここをどれだけ頑張るかで、完成時の見た目が変わります(肉がついていると少し茶色くなります)。
今回はここまで肉をとりました。顎はみずみずしく、乾燥すると硬くなります。


因みにですが、顎を切り離している時に歯が刺さらないように気を付けてください。私は今回誤って手の平に歯が刺さってしまいました。ちゃんと出血もします。ちっちゃい歯ですが、しっかり尖っているんですよ。
最後に乾燥の過程です。乾燥させる時には穴の開いたトレーに顎を紐で固定しましょう。乾燥すると顎は縮みます。そのため、ここでの紐の固定が重要です。この固定が上手くできないと顎が変な形になってしまいます。また、この時に完成時の形を考えましょう。よくお土産屋さんで売っているものは広げて平らな形になっています。本来サメはあのような口の形をしていません。この形は好みなのでみなさんお好きな形にしましょう。私は写真のような形に固定しました。


そして、洗濯ネットに入れ、陰干しで乾燥させます。ネットに入れることで虫などから守ることが出来ます。匂いが出る可能性が高いので外で乾燥させましょう。時々中身を確認し、変な形に歪んでいないか見るのも良いです。


乾燥させる期間はお好みです。私は1ヵ月以上乾燥させています(特にすぐに使う用もないので)。1週間くらいでもしっかり乾いていますので問題ないかと思います。

以上、サメの顎の標本の作り方でした。意外と簡単でしょ?
サメさえ手に入れることができれば誰でも作れると思います。作っている中で、顎の構造もわかりますよ。ただサメの入手ができればですが…
青森県のスーパーでは食用にサメの頭が売っているそうです…羨ましい。
また、入れ歯洗浄剤を使うと肉がとれるというのも聞いたので、次は使ってみようと思います。

次回のトリーター日誌の時に完成した顎の写真を載せようと思います。さて上手く完成するのでしょうか。

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

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