2020年05月30日
トリーター:岩崎

相模湾旬の魚図鑑 3rd season その5 カタクチイワシ

カタクチイワシカタクチイワシ

梅雨入り前の季節に紹介するのは、関東地方のお魚屋さんで“シコイワシ”と札に書かれて並んでいることが多い、カタクチイワシ(Engraulis japonicus)です。
カタクチイワシは、日本沿岸各地の表層に生息しているイワシの仲間で、成長しても 18cmくらいまでの小型な魚です。

この時期は、岸近くの浅い海域を回遊することが多いので、初心者にも簡単に釣れることから、防波堤でのサビキ釣りの対象として人気です。
ウロコがはがれ落ちて、身も皮も柔らかいため、手開きで簡単にさばくことができます。
うま味と脂たっぷりのお刺身は、舌の上でとろりと溶けるように口いっぱい広がります。
からりと揚げ物にしたり、たたいてつみれにしたりしてもおいしいので、たくさん釣れた時は、さまざまな料理にチャレンジしてみてください。

大型魚を釣る際に生き餌と使われたり、カツオの一本釣りでは撒き餌と使われたり、食用以外にも、漁業資源として重要な魚です。
相模湾で漁獲される湘南名物の“シラス”は、主にこのカタクチイワシの仔魚のことで、料理のお出しに使う煮干しは、“カエリ”と呼ばれるシラスから変態したカタクチイワシの稚魚が主な原料です。
生活史のあらゆるステージで、食物連鎖を底辺近くで支えているのが、このカタクチイワシです。

寿命は 2~ 3年なので、成熟までの期間が早く、食べつくされてしまう前にどんどん繁殖していくのが、カタクチイワシの生き残るための戦略です。
新江ノ島水族館では、卵からシラス、煮干しサイズのカエリ、親のカタクチイワシまでの生活史を、シラスサイエンスで展示公開しています。

新型コロナウイルス感染症拡大防止のため臨時休館していましたが、5月31日から営業再開です。
生きているシラスが見られるのはとても珍しいので、ぜひ“えのすい”でご覧ください。

バックナンバー
2020/04/30 相模湾旬の魚図鑑 3rd season その4 カンパチ
2020/03/30 相模湾旬の魚図鑑 3rd season その3 チダイ
2020/02/29 相模湾旬の魚図鑑 3rd season その2 ワカメ
2020/01/29 相模湾旬の魚図鑑 3rd season その1 ヒラメ

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