2020年08月23日
トリーター:唐亀

「モノドン」

イシガキダイ「モノドン」イシガキダイ「モノドン」

かつてツバメウオの「フララ」の体表に虫がつきがちで、淡水浴をして虫を落としているうちに、体調が悪くなると自ら網ですくいやすい所に来て待っているようになったお話をかなり昔にこちらで紹介しました。

今回はイシガキダイの「モノドン」のお話です。
個人的に「モノドン」は私の中では特別な魚の一尾です。相模湾大水槽の中でいろいろな思い出があります。
その「モノドン」がここ数年、虫がつくようになりました。
この虫は「はだむし」といって魚の体表にとりつき粘膜を食べます。
少数であればそれほど影響はないのですが、数が多くなると健康を損なうことになります。淡水に浸かると浸透圧の影響で死んでしまうので、取りつかれた魚を淡水に入れて治療します。
しかし、淡水浴は海水魚にとっても浸透圧を狂わせますから、きちんと時間と状態を確認しながらおこなわなければなりません。
本来ならば、魚にとっては「捕まって淡水に入れられる」というどちらかというと嫌な行為だと思いますが、「フララ」や「モノドン」は虫を取ってもらえるということを理解しています。

先日も体表の艶が無くなり、反応が悪くなっていた「モノドン」の淡水浴に立ち会いました。
特に逃げるでもなく手網に収まり、淡水の入った容器に入っても大人しくしています。
2分程経つと虫が白く浮き上がってきて、はらはらと落ちてきます。
淡水浴は大体 3分ほどおこないますが、この後そっと大水槽に戻し、深みに消えていきました。
たいていの魚であればこの後隅の方でじっとしているものですが、さすが「モノドン」です。その後大水槽で実施した「えのすいトリーターと魚たちのふれあいタイム」に、何ごともなかったように参加していました。
虫がついていた時とは比べものにならないくらい、嬉しそうに回転していました。

相模湾ゾーン

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