2020年12月12日
トリーター:伴野

頭大きさからの出産日予想!!

みなさん、こんにちは!
だんだんと寒さが厳しくなってきました。
“えのすい”のイルカショースタジアムにお越しの際は、暖かくして来てくださいね。

今日は最近私が取り組んでいる、
「バンドウイルカ胎子の頭の大きさから出産日を予想する!」
方法についてお伝えします。
(その前に、今年5月のトリーター日誌では、妊娠中のバンドウイルカの管理について書きましたが、今日の日誌はそちらを読んでいただけるとより理解しやすいかもしれません。
お時間がある方はよろしければ読んでいただけたら幸いです。)

“えのすい”ではバンドウイルカが妊娠すると、超音波検査にてしっかりと育っているかの確認をします。
その時の判断材料となるのが胎子の頭の大きさです。


こちらが“えのすい”で確認された、過去 7例の胎子の頭の大きさがどのように大きくなっていくかをまとめたものです。
そして出産日の予想には、赤い〇で囲った式を用います。

超音波検査で得られた頭の大きさ = 0.0448x + 15.293

少し難しいので、実際にバンドウイルカの「ルイ」が「サワ」を妊娠していた時のデータで計算してみましょう。
2011年 8月 23日(出産 283日前)、お腹の中の「サワ」の頭の大きさは 3.06cmでした。
これを上記の計算式に代入すると

3.06 = 0.0448x + 15.293
x = -273

結果、273日後に産まれる(実際との誤差10日)

こんな感じになります。
これは一日分のデータになるので連日超音波検査を実施して頭の大きさを記録、同様の方法で計算し、出産までの平均日数を出して出産予想日を決定します。


これが「ルイ」の出産日を予想した結果となります。
赤文字は誤差が 11日以上を示しています。
妊娠前半では比較的良い精度で予想できているのではないでしょうか。

後半の精度が低下するのは、妊娠後期の胎子の頭の成長が緩やかになるからだと考えています。(先程のグラフをご覧いただくと、妊娠後期に成長が緩やかになり止まるのが分かります)

今回の結果から超音波検査にて、おおよその出産日を予想し出産日が近付いてきたら、5月の日誌で紹介した体温や乳裂間の変化を見ることでより正確な出産日の予想ができるかもしれませんね。

トリーターというとショーや水槽のメンテナンス、動物のトレーニングをしている姿が思いつくかもしれません。もちろんそれらはとても大切な仕事ですが、全てではありません。
飼育員として目の前の生き物から得られた知識やデータをまとめて活かすことが私たちの仕事です。
私は、日頃収集しているデータは 最低 2回活かすべきだと大ベテラン獣医に教わりました。
1回目はそのデータを集めた時に、その時の生き物の状態を把握するため。
2回目はある程度の期間とデータの数が増えてきたらまとめて傾向をさぐるため。

日頃から体温測定、採血、体重測定、他にもたくさんのことに協力してくれている動物たち。
動物たちの協力を無駄にしないためにもデータをまとめるクセはこれからも身につけていきたいものです。

それでは本日はこのへんで失礼します!

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