「えのすいトリーターとさかなたちのふれあいタイム」にデビューしてから、半年ほど経ちました。(「えのすいトリーターとさかなたちのふれあいタイム」は相模湾大水槽で不定期開催しているミニプログラムです。)
はたして私自身が上達しているかはさておき、紹介できるメンバーを増やすべく、トレーニングしています。
その魚はマツカサウオです。
なんで、マツカサウオなのか・・・それは、マツカサウオの中にこの子ならいける!と思わせる子がいたからです。
相模湾大水槽では普段ダイバーが潜水しながら、ごはんをばらまいて給餌をしています。
その時に、ごはんがたくさん入ったケースを持っているとトリーターの近くまで来てくれる子がいたのです。
それを見てこれならいけるかもしれないとトレーニングを開始しました。
トレーニングを開始するにあたって課題がありました。
まず、トリーターの手から直接ごはんを食べてくれるのかどうか。
次に、相模湾大水槽の正面のアクリルガラス面まで来てくれるかどうかという2点です。
第一の課題、手から直接食べてくれるかどうか。
マツカサウオが大好きなオキアミを手に持ち、いざ出陣!
・・・見事撃沈しました。
普段、ケースからごはんがばらまかれ、その中から食べています。また、トリーターの近くまで来てくれると書きましたが、警戒している部分もあり、トリーターからある程度の距離を保って接近して来ませんでした。よく考えてみたら、ばらまかれ待ちをしているので、極端にトリーターに近づく必要もなかったのです。
そのため、いきなりトリーターが手に持っているよくわからないオキアミは食べてくれませんでした。
そこでまずは警戒心をとる工夫をしました。
どうしても食べてもらいたくて、こっちから手を伸ばしてしまいそうになりますが、そこは我慢。相手から来てくれるのをひたすら待ちました。もちろん手に持っている状態では食べませんので、こっちを向いている時に、パッと手を放し、少し漂ったオキアミがマツカサウオの前に行くようにして、食べてもらいました。
しかし、ここでも問題がありました。マツカサウオは相模湾大水槽にいる魚たちの中でも体が小さい方です。さらに泳ぐのも遅い方に入ります。そのため、他の魚たちが集まって来てしまうと慌てて逃げてしまい、オキアミも横取りされてしまいます。
そのため、他の魚たちにバレる前にそっとトレーニングをしなくてはなりません。
これが意外と難しい。トリーター慣れしている魚たちがたくさんいるので、ごはんを発見するとずっと付きまとってきます。その後ろの方でマツカサウオがようすを伺っていることが多々ありました。
しかし、タイミングを見計らって繰り返し給餌をしているとだんだんと距離が縮まっていき、ついにその瞬間が来ました。
手に持っているオキアミを・・・ バクッ!?
世間はそんなに甘くありません。まさかの問題が発生・・・
マツカサウオは口を瞬間的に大きく開けてごはんを丸飲みにして食べます。
そのため、手に持っていたオキアミごと僕の指も口に入れてしまいました。指があっては飲み込めないので慌てて吐き出します。
ごめんよ。肝心なことを忘れていたよ・・・
それでもマツカサウオは果敢にもう一度チャレンジしてくれました。その時は絶妙なタイミングでオキアミを離し、オキアミだけを食べてもらう事ができました。
その後は警戒心がとれたのか手からどんどん食べてくれるようになりました。
次の課題、相模湾大水槽の正面のアクリルガラス面まで来てくれるかどうか。
マツカサウオは相模湾大水槽に何匹かいるのですが、それぞれお気に入りの場所があるようで、だいたい同じ場所にいます。
トレーニングをしているマツカサウオは、私たちが「丸窓」と呼んでいる、魚眼レンズのようになっているアクリルガラス面の近くによくいます。
ここから相模湾大水槽のメインのアクリルガラス面まで移動しなければなりません。
マツカサウオのトレーニングをして分かったことは、1つオキアミを食べると、飲み込むのに時間がかかっているのか、間があります。その間に他の魚たちがわらわら集まり、そうこうしているといつものお気に入りの場所に帰ってしまします。
こんなんで、正面まで移動できるのか不安になりました。
ただ、何事も繰り返しが大切ですね。定位置に戻ってしまっても何度もアピールして、連続でオキアミがもらえることに学習してもらいました。そうすることで、定位置に戻らずに、1つ食べた後でも私の近くで留まってくれるようになったのです。そして、ちょっとずつ私が泳ぐとそれについて気てくれるようになりました。
ちょっとずつ・・・ちょっとずつ・・・
ある日いきなり変化が!
トリーターが水槽にいることに気づくとアピールしなくても来てくれるようになったのです。そして、相模湾大水槽の正面まで来てくれました。最初の頃の警戒心が嘘のように、最近では接近しすぎて困るくらいです。写真を撮っても近すぎてピントがあいません。