2021年04月27日
トリーター:今井

イカタコ同居(その後)

相模湾ゾーン「沿岸水槽」の一つに、コウイカ類とマダコを同居させて1か月経ちました。
[ 2021/03/23 コウイカ類の展示開始! ]

マダコは好奇心旺盛で、動くものがあれば取りあえず触ってみるような習性があります。
コウイカ類にも似たようなところがあるのですが、四方八方が壁面の(吸盤で踏ん張れる)水槽内ではマダコが有利です。そこで力関係の均衡が保たれるように、当初は体重250グラム程度の小さな個体を入れました。そして、コウイカ類にちょっかいを出さないように頻繁に餌を与えていたところ、何となく同居している環境を認識してくれたようで、大人しく過ごしています。


当初の活発なマダコ

一方、コウイカ類は漁師さんから食用の1,000~3,000グラムある成熟個体を入手しています。そのため、水槽内でペアーになると産卵が始まります。
現在、水槽内の木の枝には、白いブドウの房みたいにたくさんのコウイカ類の卵が産み付けられています。よく見ますと母イカが卵一つ一つに、保護?の為に細かい砂粒を塗していたのが分かります。(陸上の樹木が、海中の装飾に使われるのは不自然ですが、実際の漁場でもイカ類が繁殖しやすいように、産卵床として樹木が投入されていますのでお許しくださいませ。)


木の枝に付着したイカ卵

産卵が終わると約1年の短い寿命も尽きますので、従来なら展示替えをして来季に備えるのですが、いつもイカ類を見たいというお客さまがたくさんいらっしゃいます。そこで、今年は通年展示を目指しています。卵から孵化してしばらくの間、大きく成長をしたマダコと、ちょっかい出すにはあまりにも小さなコウイカ類の混泳をご覧いただきたいと思っています。


生まれたばかりのコウイカ(参考写真)

当館に勤めさせていただいてもう30年以上になりますが、入社して間もない頃、館長より「マンボウとクラゲの混泳はできないものか?」とのご提案が飼育部に上がりました。今でこそマイワシの大群と魚食性の大型魚類との混泳が成り立っておりますが、当時としてはとても斬新なアイディアでした。私はそのお言葉に感銘を受けてから、すぐに思い浮かぶような作業の煩わしさには、まず邪魔されない考えが持てるようになりました。
今回もかなり大変だとは思いますが、チーム内で協力しながら、お客さまに喜んでいただける展示ができれば良いなと思っています。
乞うご期待!

相模湾ゾーン

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