2021年05月21日
トリーター:笠川

13年ぶり、そして初!?

ヒゼンクラゲヒゼンクラゲ

先週展示を開始した「リゾストマ・パルモ」は、初展示だとわかっていたので、新着生物としての準備をしていましたが、ヒゼンクラゲも確認したら繁殖個体はまさかの初でした。2008年に野生個体を初めて展示して以来の約13年ぶりの展示となります。13年ぶりかぁ~私が飼育員になる前の話です。

どのクラゲも育てるのは大変です。ヒゼンクラゲも展示に至るまで、いろいろなことがありました。特に血の気の引いた事件をお話しします。

行方不明事件。一回、失踪といいますか、休みあけで朝餌をあげて午後換水しようとしたら、クラゲがいない。ゾッとしました。今までどうにもならなくて、今回やっと子クラゲまで育ちかけていた3個体が消えました。
クラゲが消えることは実は多々あります。体のほとんどが水分なので、だめになってしまうとほぼカスみたいになってしまうものもいます。ただ、肉厚なものがキレイにいなくなるということはありません。それがきれいにいない。まさに神隠し。

でも今展示できているということは、ちゃんと見つかったのです。
ヒゼンクラゲは、25℃にしたウォーターバス(ゆせん槽)に簡易クレイセル(タイコ水槽)で飼育していました。ということで、どっかのタイミングでまわりの水に飛び出てしまったようです。
何がびっくりしたかというと、このまわりの水はほぼほぼ真水です。いくら汽水域にもいるからって。どのくらいいたかはわかりませんが奇跡です。うれしかった反面、今までかなり手厚くしていたのにだめになってしまうことがあったのに、こんな状態でも生きているなんて。なんやねん。クラゲって不思議ですね。

以前も、深海のクラゲ、アケボノクラゲを輸送したときの話です。
温度が上がることに過敏になりすぎて、冷やし過ぎてしまった結果、まさかの水が凍り始めるというハプニングが起こりました。でもクラゲは、表面しゃりしゃりの水の中で凍らずにちゃんと生きていてくれました。本当に奇跡です。このときももしだめになってしまっていたら展示はできませんでした。
たった1個体の貴重なアケボノクラゲ。忘れられません。クラゲの神様がいるのかはわかりませんが、本当にありがとうございました。

ヒゼンクラゲは、クラゲらしからぬざらざらの硬い傘が特徴です。傘の直径も1mにもなります。まだまだかわいいサイズです。今後の成長とざらざら具合が楽しみです。

クラゲファンタジーホール

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