2021年12月15日
トリーター:鈴木

ウミサボテン見頃です

見た目はその名の通りサボテンですが、サンゴやクラゲ、イソギンチャクなどと同じ刺胞動物の仲間です。トゲのように見える部分は「ポリプ」と呼ばれ、ポリプ一つ一つがイソギンチャクのように触手を持ち、海中を漂うプランクトンなどを捕らえます。

このウミサボテンは11月頃から相模湾キッズ水槽に展示していますが、展示したばかりの頃は本体の伸びもいまいち、ポリプの開きもいまいち、でした。
体が縮みポリプも開いていないウミサボテンは本当に同じ生き物?と思うくらい、しょんぼりとして全く姿が違います。
1日の中で伸縮を繰り返すので、どうしても縮んでいる時はあるのですが、実は餌や光などの飼育の工夫次第で良い状態を長く見せることができるんです。

まずは光。
ウミサボテンは夜行性なので、夜間は伸長し日中は収縮して砂の中に隠れていることが多いです。それを逆手に取り、昼間より夜間の照明を明るくして、人工的な夜をつくる昼夜逆転飼育をすることで、昼間に伸びたよい状態が持続します。
日中、水槽内の照明が薄暗くなっているのはそのためです。

次に餌。
正確には餌の匂いを常に水に充満させておくことが重要です。そうすると、匂いに反応してトゲトゲのポリプたちが一斉に花開きます。ウミサボテンの餌であるプランクトンを水ごと冷凍しプランクトン氷をつくり、それがうまく溶け出す仕組みをつくれば、常に溶けて染み出た餌を含んだエキスが水槽に充満するというわけです。餌が常に供給されているとウミサボテンは断然元気になります。
これらのおかげで現在は、より長い時間、伸長した満開状態をキープできるようになりました。このウミサボテンの見頃を常にご覧いただけるよう努力していきたいと思います。

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