そもそもペンギンって泳ぎがすごくない?と思われますよね。
その通り!
泳ぐこと自体はどのペンギンも普通に遊泳力に優れています。
しかしその中にも泳ぎがすごいペンギンがいるんです。
“えのすい”でも最近超絶な泳ぎを見せるのが、一番若い「リリー」です。
今までも若い頃のペンギンたちでは、若さにまかせて“カッ飛ぶ”ペンギンはいました。
「リリー」は小柄なこともあり、泳ぎ始めはとても心配していました。
雛が初めて泳ぐときは、普通先輩ペンギンの方が泳ぎが勝っています、たいていは最初に同じプールへ入ると、水中で追いかけられたり、水中で突かれたり、ひどいときには翼や足に噛みついたまま水中へ引きずりこまれることもあります。
そんなようすを見ると、野生では捕食者たちがいる環境での初泳ぎですから、最初から命がけなのだろうとおもえる瞬間でもあります。
“えのすい”ではこれまでの経験から、初泳ぎは 1羽もしくは親とだけか、同じ年代の雛がいる場合は同年代の幼鳥だけで泳ぐ練習をさせて、ある程度の遊泳力がついたところで他の先輩ペンギンたちと合流という方法をとっています。
「リリー」は「ポピー」という同い年のきょうだいがいるので、2羽一緒に泳ぐ練習をさせていたのですが、今まで“えのすい”で育った雛に比べると、より水中への依存度が高かったように思います。
少しでも不安を感じるとひと晩上陸せず水面で寝ているなんてこともよくありました。
これが功を奏したのか、遊泳力が付いたところにおとなのペンギンと合流させると、これが先輩ペンギンたちよりも泳力が優れているようで、初めからしつこく追いかけられたり、いじめられたりすることはほとんどありませんでした。
そればかりか、水中は自分たちに有利とばかりに、普通に泳いでいる先輩ペンギンの死角になる後方斜め下あたりに回り込み、先輩ペンギンの足やお尻を突いてびっくりした先輩ペンギンが慌てて泳ぐようすを面白がって追いかけるという遊びをおぼえたようなのです。
今までも若いペンギンたちは最初にそういった行動をとることはありましたが、どの先輩ペンギンへも通用するわけではなく、強い雄、 2~ 3歳年上のやんちゃなペンギンたちにはやはり劣ってしまいやり返されてペンギンルールを学習するというのが一般的でした。
しかし「リリー」たちきょうだいは少し年上の若いペンギンたちともつるんで、強い雄も含めたほとんどのペンギンたちを追い回しているようなのです。
時々追いかけられているようなときも、自ら学習したのか、ジャンプ、急反転、高速遊泳、そしてどうやってやるのかわからないのですが、鳥が飛ぶような体制のまま垂直な高いジャンプといったはなれ技で追いかけている相手をかわしていきます。