2022年10月06日
トリーター:櫻木

8月のイルカ救助活動について

少し前の話となりますが、台風 8号が接近してきた2022年 8月13日、鵠沼海岸でイルカの座礁がありました。
現場で確認したイルカは体長240.0cm、顔つきはカマイルカっぽいのに体の模様はなんとなくバンドウイルカにも見えて、初めて見た時はその場で種類の同定ができませんでしたが、後に調べ直したところ、サラワクイルカ(Lagenodelphis hosei )ということがわかりました。

サラワクイルカは本来、もっと温かい海域で見られる種類であり、外洋性であるともいわれています。さらには神奈川県内での座礁は今回が初記録。特徴的なところといえば、胸鰭が体に対してきわめて小さいところです。そこに注目すれば、すぐに同定できたかもしれません。しかしながら、鵠沼海岸でサラワクイルカを見るとは思ってもおりませんでした。まだまだ勉強不足ですね。

発見当初は自力で泳げたので、海へリリースしましたが数時間後にまた座礁してしまい保護に至りました。しかし、当館に運び入れることが難しかったため、横浜・八景島シーパラダイスにご協力いただき、治療を実施も、結果は残念ながら翌日に死亡してしまいました。
座礁してしまうイルカは何かしらの理由があり、そもそも弱っていたからこそ打ちあがってしまうのだと思いますが、保護しながらも死亡してしまうのはやはり悲しいことです。今後、もう少し時間がかかってしまいそうですが、胃の内容物の調査なども予定しており、このサラワクイルカがどのようなものを食べていたのかを調査していきます。

当時は台風の影響で波も高い中、発見時はサーファーや近隣の方々に、保護、治療においては横浜・八景島シーパラダイスのみなさまにご協力いただき、救助活動をすることができました。ご協力いただいたみなさま、本当にありがとうございました。この場を借りて、厚く御礼申しあげます。

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