2023年01月31日
トリーター:今井

深海生物の入手シーズン真っ只中!

一年で一番寒い時期となりました。
水仕事には少々きつい日もありますが、深海生物の入手においては冷た~い生息環境から海面まで引き上げた場合の水温変化が少なく、運搬する陸路も寒~いので、当館に到着するまで楽に保冷ができるために適しています。

深海の高水圧、暗闇、低水温の世界から採集する生き物にとって、ちょっとでもストレス軽減に繋げられる手っ取り早い時期なので、深海班ではここぞとばかりに深海生物の搬入にいそしんでいます。
ただ、海岸のように下見ができない場所のため、漁船からの情報と過去のデータから、日程と目的の生き物を絞っていくのですが、出航するか否か、どこで仕掛けをおろすかは、船長判断にゆだねることにしています。
船釣り採集では、真鶴の福浦港の天恵丸さんにご協力をお願いしています。

出航前の天恵丸と船長出航前の天恵丸と船長

数年来のお付き合いなので、展示するのに都合が良いように、できるだけ好条件を船長なりに考えてくれます。
例えば、数多く釣らせるよりは、できるだけ浅い漁場を選んで個体のストレスを軽減してくれたり、仕掛けを工夫して魚に負担がないように釣り上げられるようにしてくれます。
先日の船釣り採集では残念ながらギスと、その他カサゴ類が数種だけでした。

ギスは釣れた直後は虹色です。体に触れたら鱗が剥げてしまうほど繊細なのですが、ツルンと生け簀に落ちる仕掛けが功を奏して、当館に搬入した個体は、今までで一番長時間生存させることができました!ギスは釣れた直後は虹色です。体に触れたら鱗が剥げてしまうほど繊細なのですが、ツルンと生け簀に落ちる仕掛けが功を奏して、当館に搬入した個体は、今までで一番長時間生存させることができました!

しかし、ここで終わらせないのが、天恵丸の船長です!
不漁の場合や、荒天が続いたりして出航できない場合には、欲しかった魚種を船長が釣って譲渡してくれたり、日頃の漁で目的とする魚種の漁場も探しておいてくれるのです。
今期は、あと一回乗船が予定されていますが、前回、入手できなかった魚種なども現在、船長が探してくれていますので、次回に展示のご紹介をさせていただきます!
ゲッコウスズメダイ(右から1列目1~3段目)
アズマハナダイ(右から1列目5段目)

真夏の釣果の一例です真夏の釣果の一例です

ちなみに、船長が釣った魚は、ご自身で経営しているカフェ「ルートカフェ」で、ご賞味できるそうです!
えーっ!この魚欲しかったんだよなー!( ;∀;)

右列全部がシキシマハナダイ右列全部がシキシマハナダイ

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

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