2023年05月21日
トリーター:今井

金魚展「紫陽花金魚」への道3

一般に金魚は風流なものとされ、俳句でも夏の季語となっています。
そこで、6月から始まるテーマ水槽「紫陽花金魚」も俳句でご紹介したいと思いました。
当然、私にはその才能がございませんので、潔くお願いをすることにしました。
ご協力いただいたのは、地元藤沢の「波俳句会」のみなさまです。

「波俳句会」のみなさま「波俳句会」のみなさま

予備水槽にて出番待ちの金魚たちを観察して、これはという品種について一句ずつ捻っていただきました。

コガネチョウビ (黄金蝶尾)コガネチョウビ (黄金蝶尾)

六月の 花嫁みやび なる尾鰭   貴世
・・・美しい尾鰭は正にウェディングドレスそのもの。

月並みの解説で「尾びれが羽を広げたアゲハ蝶のように見えます。」なんてお客さまのイメージを絞り込まずに、「どれどれ? 6月の花嫁さんて・・ジューンブライド!するとウェディングドレスかな?」と俳句の魅力によって金魚に興味を抱いてほしかったのです。
そんな私の想いを汲んで作ってくださいました。

また、感じたままを表すことも大切なのでしょう。
この品種は「鼻の皮弁が房のように発達して、まるで紫陽花の花のように見えるのです。」
と説明させていただきましたが、私のこじつけイメージなんて関係ありません!
ご自身の感動が一番なのです。

デメハナフサ(出目花房)デメハナフサ(出目花房)

墨汁を こぼしたような 金魚かな   遊児
・・・見た瞬間にテーブルの上にこぼしてしまった墨汁を想い浮かべた。

芭蕉のように、墨でつらつらと書かれた時に、粗相しちゃったのでしょうか?
実物は本当にそんな感じで、赤色の上に黒色が乗ったようなべっとりとした体色です。

さて、昨今では遺伝子レベルにて魚種の分類がされるようになり、実物を展示してもその特別感が伝わりにくい場合があります。
たとえ顕微鏡や試薬キットがなくとも、お客さまにその趣きが伝えられるような、そんな架け橋となる役割りもえのすいトリーターには必要かも知れません。
ぜひ、金魚展は俳句と一緒にお楽しみください!

波俳句会 (my-safari-land.net)

バックナンバー
2023年04月25日 金魚展「紫陽花金魚」への道1
2023年04月25日 金魚展「紫陽花金魚」への道2

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