みなさん こんにちは!
きょうは私が最近興味関心を持っていることをご紹介。
それはミナミアメリカオットセイの「ライラ」の性周期を把握することです。
「ライラ」は 2016年に “えのすい” にやってきました。
今年で推定8歳のメスのオットセイです。
今後「ライラ」が繁殖に携わっていくためには、「ライラ」の排卵タイミングを把握することが必要です。
多くのアシカ科の生き物は、排卵は年に1回しかありません。
そしてメスが交尾を受け入れる期間は、排卵日付近のごくわずかな時間に限ります。
(オットセイは排卵日の1日前~当日程度ではと考えています)
つまり、交尾を成功させるには排卵するタイミングを把握してオスと合流させる必要があるのです。
そのため私の頭の中は今、「ライラ」の排卵日を把握することでとてもいっぱいなのです。
ではまずはミナミアメリカオットセイが野生下でどのような生活史を送っているかを調べてみましょう。
ミナミアメリカオットセイは南米の沿岸部に生息しています。
上記のように春から初夏にかけて繁殖期となります。
そしてこのスケジュール表を日本バージョンにしたものがこちらです。
つまりの日本の水族館では、5~7月頃に一般的には繁殖期を迎えるわけですね。
(もちろん個体差はあります)
そしてこのタイミングのどこかで排卵がおきているはずです。
排卵日を詳細に特定するためには、
では今年の「ライラ」の体重と換毛の記録を簡単にまとめて、今年の排卵日を大まかに予想できるかやってみましょう。
発情期には体重が 110%程度まで上昇して、その後換毛はくるのが一般的と想定した場合、今年の「ライラ」では
・・・排卵タイミングを逃した!?
実は3月くらいに発情きた?と疑ったタイミングがありました。
魚を渡しても食べなかったり、トレーニングしていてもそわそわと違和感がかなりありました。でもこのときは予想されていた繁殖時期からかなりずれていたこともあり、私のトレーニング技術不足だと判断しました。
しかしここまでの記録をまとめてみると、セオリー通りなら今期はもう排卵が終わってしまったのかもとも考えられそうです・・・
なぜなら毛が抜けているのです・・・
しかし、エコー検査で卵胞が確認できたわけでも、排卵後に上昇するであろうプロゲステロンの値上昇も確認されたわけではありません。
また年初めに屋内飼育から屋外飼育に切り替えたことによる飼育環境の気温変化も体重増加に関係しているかもしれません。
いずれにしてもまずは7月頃までは引き続き検査と観察を続けてまいります。
わたしの飼育員のモットーの1つには 飼育生物から学び、まずは目の前の生き物に還元すること、そして記録を残し、後世で飼育されるであろう生き物へ役立てること、その先には自然界の生き物へ役立てていくことがあります。
担当者としてこれからも「ライラ」から沢山教わっていきたいと思います。
それでは本日はこの辺で!