2023年06月15日
トリーター:西川

1か月で発見した寄生虫

前回の日誌で寄生虫を調べていると書きました。きょうは、前回の日誌から 1か月でどんな寄生虫が見つかったのかを書いていくことにします。

結果からいうと、全部で 3種類の寄生虫が見つかりました。
まずは、ヒゲツノザメについた寄生虫です。コペポーダ(カイアシ類)の仲間かなーと思うのですが、魚体から外していないのではっきりとは分かりません。体に白い斑点があるので少しわかりづらいですが、背びれの付け根後方に付着している白いつぶ状のものが寄生虫です。ヒゲツノザメについている寄生虫は全部で 2個体なので影響はなさそうで、サメ自身も何にも気にしてなさそうです。ヒゲツノザメ自体はぜひ水族館に来て見てみてくださいね。

ヒゲツノザメの第一背びれ基部に付着する寄生虫ヒゲツノザメの第一背びれ基部に付着する寄生虫

2種目は、カリグスです。
カリグスもコペポーダの仲間ですが、もう少し深く分類された呼び方です。海からやってきたばかりのホシザメの第一背びれの上の方に 2個体ついてました。これもサメには影響のないものです。これは画像がなくてすみません。代わりに過去にウスバハギについていたカリグス画像を載せます。カリグスの中でも種類があるのでホシザメについていたものとは違いますが、見た目はこんな感じでした。

ウスバハギ産のカリグスウスバハギ産のカリグス

3種目はアケボノハゼについている線虫類です。
ブリではこのような寄生虫はよくみられますが、アケボノハゼでは初めて見ました。ブリに寄生している線虫は、普段は筋肉に寄生しているので外見ではわからないですが、産卵するときにブリの皮膚を破って体の一部を海に出すようです。それが春から夏の時期らしいのでちょうど今が産卵の時期ですね。アケボノハゼに寄生した線虫ももしかしたら産卵のためにひょっこり顔を出したのかもしれません。

線虫類線虫類

寄生虫が魚に寄生する経路はさまざまですが、アケボノハゼの場合は海の中で「線虫が寄生していた小さな生物」を食べて寄生されたのだと思います。この線虫についてはそれ以上のことはわからず、海の中でどのような生活を送っているのか解明されていません。
線虫に限らずですが、水族館で得られる小さな情報を積み重ねていくことが海の中にたくさんいる小さな生物の生活を少しずつ紐解いていくのだと思います。
来月はどんな寄生虫が見つかるかな~。

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