本日は先日参加してきた日本魚類学会年会の話をしましょう。
以前Y本トリーターがトリーター日誌でノルウェーの国際ヒドロ虫学会に参加した話をしていましたが、先日、私も長崎で開催された魚類の学会に参加してきました。
もちろん研究のネタはフグの仲間についてです。
日本魚類学会年会は毎年1回開催され、全国の魚類研究者が集まります。自身の研究について発表、議論、情報交換する絶好の機会です。
魚類の研究者は全国にたくさんおられ、その分、多岐の分野にわたってたくさんの研究がなされています。
私はオキナワフグというフグの種内変異(簡単にいうと、色や形などこのくらい違っていても同種だよーという意味です)などについて発表してきました。
世界でオキナワフグの仲間(オキナワフグ属)は6種知られており、日本沿岸にはそのうちの1種オキナワフグが分布しています。今回の研究では、これまで知られていたオキナワフグの特徴で、背中にある小さい棘が目の間から背びれの前まであるとされていましたが、背びれまで達していない個体も多くいることがわかりました。この棘の範囲で区別していた種もいたため、そのあたりを議論してきました。
そもそも、フグの背中に棘があるの? と思われる方もおられるのかもしれませんが、それについてはまた別のトリーター日誌で、お腹いっぱいになるまでお話しします。
話を学会に戻して。
“えのすい”でもそうですが、水族館の水槽には魚名板が設置されています。それらは正確な情報をみなさまに提示できるよう、常に最新の研究に基づいたものになるよう心掛けています(“えのすい”の魚名板作成はデザインチームが引き受けており、私はお願いするだけですが。。。デザインチームのみなさんいつもありがとうございます!)。
驚かれる方も多いですが、新種や、日本沿岸で初めて確認された種、学名が変更になった種など数えると、今年だけですでに数十種類もいます。
また生物の生態を知るというのは、その生物を飼育するうえで非常に重要です。飼育している生物を少しでもストレスなく、健康な状態で飼育するためはもちろん、その生物の自然な生態を水槽内でも観察でき、みなさまにお伝えできるよう努めています。
これらを実現するために、常に最新の研究に触れ、理解しておくのは非常に重要なのです。
今回は自身の研究も発表していたので、多くのご助言をいただき、研究が一歩前進しそうです!
最後の懇親会では長崎らしいビゼンクラゲの料理もありました!
今回の出張が、みなさまが直接見られる展示に活かせるよう、これからも頑張ります!
[2023/04/26 福がいっぱい!? フグの話]
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