2023年10月08日
トリーター:小形

現状維持は衰退の始まり!!

なんだかとっても熱いタイトルなのですが・・・。
最近、ペンギン担当者の中で新しく挑戦していることがあります。

それは、いろいろな給餌方法を試してみよう!ということです。

少なくとも私がペンギンたちの担当になってからもう8年ほどになりますが、給餌の方法はずっと変わっていません。階段で与える方法で、ペンギンたちは自ら階段に寄ってきて階段の上でごはんをもらいます。

この給餌方法の良いところは、まず第一にペンギンたちそれぞれが安心して食べられるということです。
高齢のペンギンなどは、パワフルな若いペンギンたちと一緒に給餌をすると、勢いに負けて魚をくわえられなかったり、くわえた魚を取られてしまったりすることがあります。これでは高齢のペンギンたちが十分に魚を食べることができません。
しかし階段の上で1羽ずつ食べる方法であれば、誰かに取られることなく安心して食べられます。

最高齢 33歳のフンボルトペンギン「ルビー」最高齢 33歳のフンボルトペンギン「ルビー」

また、階段に来るか来ないか、来るタイミングなどでそれぞれのようすが見られるということです。
ペンギンたちの中で、だいたいいつも来る順番などが決まっています。それがいつもより遅かったり、あるいは来なかったりすると、どこか調子が悪いのか考えるきっかけになり、給餌量の調整などにも役立ちます。
私たちはこのペンギンたちの「寄り方」をかなり重視して見ています。

しかし今までと違う給餌方法も、ペンギンたちの刺激になって良いのではないか、今の給餌方法も良いけれど、もっともっと良い方法があるんじゃないか?そんな話から、新しい給餌方法を試してみています。

階段で与えずに、床で与えてみる方法です。多くの動物園や水族館では陸場で与えたり、水中に魚を投げて与えているところが多いかと思います。しかし“えのすい”のペンギンたちは、それぞれに給餌量が決まっていて、毎日1羽1羽の健康管理をしっかりとおこなっています。
体重も週に2回、以前は毎日量っていました。ここまでやっている園館はおそらく、“えのすい”ぐらいなのではないかと思っています。それゆえに、床で与える方法だとなかなか給餌量通りに与えられなかったり、1羽のようすをじっくり見られなかったり、毎日与えているビタミン剤が全羽に行き届かなかったり・・・。
こだわりがあるからこそ、それをクリアにしていく作業が困難でもあります。
始めてみてすぐにいろいろな問題が出てきましたが、みんなで毎回話し合って意見を出し合い、今はほとんど給餌量通りに与えることが可能になってきています。
まだまだ完成形ではありませんが、これからもっともっとブラッシュアップしていき、ペンギンたちにとってもより良い給餌、私たちにとってもこだわりを貫ける、そんな給餌方法を目指して今模索しているところです。

“えのすい”に来られた際には、トリーターたちが試行錯誤して新しい給餌方法を試しているところが見られるかもしれません。これからもっともっと進化させていくので、乞うご期待!

ペンギン・アザラシ

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