2023年12月18日
トリーター:加登岡

実物に見て、触って分かること パート2

前回前々回 とトリーター日誌でサメについて書きましたが、今回もサメについて書こうと思います。

先週、板鰓類(ばんさいるい)研究会のシンポジウムに参加して、サメ熱がさらに上がってきております。サメ研究者のお話を聞いて、とても刺激を受けました。自分ももっと勉強しなくてはと思うと同時に、それをみなさんに還元できるように頑張ります。
今回も、ハナザメに続き、別の漁師さんより貴重な標本をいただきまいた。

深海シーズンの到来です。こちらになります。

分かる方には一発でわかってしまうこの深海ザメですが、何ザメか見ていきましょう。
まずは背びれに注目です。1つしかありません。日本には約130種類のサメの仲間がいるとされていますが、背びれが 1つしかないサメはわずか 5種しかいません。稀にオオテンジクザメというサメが背びれが 1つだったり 2つだったりするのですが、確実に 1つなのは 5種だけです。この時点で 5 / 130まで絞れます。
さらに特徴的なのは、何といっても鰓孔(えらあな)の数! 7対の鰓孔があります。

私は良くサメと他の魚とどこが違うのという説明をする時に、鰓孔の数の話をします。
「サメの仲間は 5~ 7対の鰓孔があり、その他の魚は 1対だけなのですよ。だから鰓孔の数を見ればサメかそうじゃないかは一目でわかります。コバンザメやチョウザメは名前にサメが付きますが、鰓孔が 1対なのでサメではないのですよ」ということをいいます。そのときに、鰓孔が 5~ 7対という範囲で紹介しますが、ほとんどのサメが 5対です。数種だけ 6~ 7対になります。
そして、その中でも 7対なのはエドアブラザメとエビスザメの 2種のみになります。
この鰓孔の数を見れば 2/ 130まで絞ることができますね。正直、背鰭の数は見なくても鰓孔の数を見た段階で、2種まで絞れてしまいます。あとは 1 /2の確率です。
この2種ではエドアブラザメは吻先と下顎が尖っており、エビスザメは吻先と下顎が丸っこく、体に斑点があるので見分けることが可能です。

ということで、今回のサメは「エドアブラザメ」でした。

エドアブラザメは歯の形も特徴的です。こちらは以前作った顎の標本です。
左が上顎、右が下顎のです。

左が上顎、右が下顎左が上顎、右が下顎

下顎の歯は特に特徴的で、一本の歯に複数の咬頭(こうとう)があります。エドアブラザメが含まれるカグラザメ科はこの歯の形状が特徴的なので、歯の標本しか無くても、科までなら簡単に割り出すことができるのです。

これからもいろいろなサメを実際に見て、ぱっと何の種類か分かるように勉強していきたいと思います。ときどきその経過をトリーター日誌で紹介しますね。

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