2024年01月17日
トリーター:加登岡

サメな話

3回続けてサメについてトリーター日誌を書かせていただきましたが、今回もサメでいこうと思います。

ここまでサメの話が続いたので、タイトルも「実物に見て、触って分かること」から「サメな話」に変えてみました。
当館に本年度からやってきましたスーパーマンSトリーターの影響を受け、魚の分類をもっとできるようになりたいと感じているきょうこの頃です。
ただ一朝一夕でできることでは無いため、せめて自分の得意な分野だけでもと勉強しております。その一部をこちらに書き留めていこうと思います。

今回は寄贈いただいた貴重なサメの標本の紹介です。
今までは相模湾産でしたが、今回は相模湾から少し南の海で獲れたものになります。
こちらもサメ好きな方なら一度は名前を聞いたことがあるサメかもしれません。
知らない方でも、某有名漫画のキャラクターのモデルにされているサメなので何となく名前を聞いたことがある方もいるかもしれませんね。

今回はこちらのダルマザメです。
全体のバランスから見ると背びれとしりびれ、尾びれが後ろの方に偏っていて、まるで魚雷のようなフォルムが特徴的なサメです。
このダルマザメは獲物の体表を丸くかじりとって捕食することで有名なサメです。
マグロやカジキ、鯨類など大型の海の生物の体に丸い傷跡があれば、このサメがかじった証拠になります。
何度かストランディングした鯨類の体表にこのサメのかじった跡を見たことがありましたが、ダルマザメの実物に触れたことが無かったので、今回標本をいただいたときに興奮しました。

当館のバンドウイルカの「シリアス」にもダルマザメに咬まれた傷跡が残っています。
学生やお客さまに「シリアス」の見分け方を伝えるときに、よくダルマザメの咬まれた跡があると言っていました。ただそのときにはダルマザメの実物がなく、この生き物ですとご覧いただく物があればいいなと常々思っていました。
写真は「シリアス」がはるか昔にダルマザメに咬まれた証拠となる傷跡です。丸くかじられるため、傷が治るとこのような形の跡が後々残ります。

ダルマザメ自体は写真や剥製、あごの標本などを何度も見たことはありましたが、実物に初対面ですので、じっくり観察をしてみました。

頭を見て見ると、ふんがかなり短く、それに対して眼が大きいのが分かります。またえらの孔が小さいですね。前回紹介したエドアブラザメと比較するとよりそれが際立って見えます。

そして、私が最も見たかったのは、口部分!
文献で唇がめくれている写真を見たことがあり、実際に見てみたいと思っていました。

まずは通常時の口。

続いて唇がめくれた状態。

この状態になると口が大きく開きました! 文献で見た通りだと改めて感激いたしました。
そして、なんといっても下顎の歯でね。この歯で大型の魚やイルカ・クジラの体表をかじり取ってしまうのです(後で気付いたのですが、ピントが歯に合っておらず後悔しております・・・)。

このダルマザメ、1月18日より 深海Ⅰにて液浸標本として展示中です。実物を見てサイズ感などをぜひ確認してみてください。

また、サメつながりで、深海Ⅱでは 毎日深海生物タッチ で深海のサメに触ることができます。今回もちらっと登場したエドアブラザメを触ることができます。さらに他のサメにも!?
こちらは期間限定で、期間中も触れる生き物を更新していく予定です。なので今のうちにこの機会をお見逃しなく!

いつかダルマザメの生きている姿を見てみたい・・・ と夢見ながら今回はこの辺で失礼いたします。

バックナンバー
2023年12月18日 実物に見て、触って分かること パート2
2023年11月09日 実物に見て、触って分かること
2023年09月23日 どこが違うかな?

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

RSS