前回 の続きです。無事「Kurage con」での研究発表を終え、翌日はモントレーベイ水族館の展示とバックヤード、そしてMBARIを見学してきました。その時のことをネタバレになりすぎない程度に書いていきます。
まずはモントレーベイ水族館。そして、モントレーベイ水族館といえば、世界最大の海藻であるジャイアントケルプ(オオウキモ)が展示されている水槽「Kelp Forest」。水族館好きの誰もが一度は夢に見るのではないでしょうか。
実物をみると、「うおおおーー」と思わず声を出してしまいました。想像を超えるジャイアントケルプのデカさ。その環境でくらす生き物たちのくらしの再現度。まるで海が切り取られているかのような、水槽とは思えない展示で、いくらでも見ていられます。いつか潜ってみたいなあ。
少し進むと屋外には展望台があり、水族館の目の前の海を双眼鏡で観察することができます。
そして、気になるクラゲ展示。前回も書きましたが、実は“えのすい”のパシフィックシーネットルやパープルストライプトジェリーは、モントレーベイ水族館からいただいたポリプから育てているのです。
“あわたん”との比較で気づいたかもしれないのですが、展示されている個体がとにかくでかいです。特にパープルはこんなに大きくなるんだ・・・ と衝撃を受けました。
さて次は、現在モントレーベイ水族館でおこなわれている深海に着目した企画展「Into the Deep」です。日本では見たことのないさまざまな深海生物が展示されており、見ごたえしかありません。
特に私が感動したのが「シダレザクラクラゲ」の展示です。
前回さらっと書きましたが、モントレーベイ水族館ではシダレザクラクラゲの繁殖をおこなっています。これ、クラゲの飼育に携わっている者からすると、とんでもなく凄いことです。
本種は管クラゲ類(カツオノエボシとかが含まれるグループ)の中では珍しく生活史が完全に知られているものの、そもそも飼育難易度がとても高く、繁殖と展示ができることは本当にすごい・・・ (早口)。展示されていた群体は欠損がなく、管クラゲ類の美しさと面白さを完璧なまでに伝えていました。「The common Siphonophore」と呼ばれているように、日本でも野外からのシダレザクラクラゲの入手自体はそこまで難しくないため、いつの日か当館でも常設展示を夢見て今後挑戦していきたいと思います。
館内の水槽では、たびたび日本のどこかの水族館で見たことがあるような展示がいくつもあり、日本の水族館に大きく影響を与えていることを感じました。そして、エンターテイメント性の感じる展示はほぼなく、すべてが海洋保護や自然科学、生物学などの、極めてまじめな博物館的な切り口であったことも印象的でした。
さて次は、MBARI( Monterey Bay Aquarium Research Institute :モントレーベイ水族館研究所)の見学です。MBARIとは、その名の通り、モントレーベイ水族館と連携している海洋研究所です。近くにあるのかと思っていたら、水族館から車で 30分ほどの結構離れたところにありました。
まずは MBARI の歴史や活動内容(特に気候変動に対して)のレクチャーをしてもらいました。
モントレー湾には巨大な渓谷があり、船で数時間走ると水深 3,000m の海域に行くことができます。深海生物を研究するには絶好のロケーションです・・・!
施設内では研究者の方々が動画の解析をしているようすなどを見せていただきました。説明を聞いても難しすぎて分からないことだらけでしたが、最新の研究を肌で感じることができました。
施設のすぐ裏手の港には観測船が係留されており、技術者の方々が作業をしていました。日本の船とはなんだか形が違う感じがします。カッコイイ。いつかこれに乗って調査に同行してみたいものです。
それぞれの施設を見学して印象的だったことは、水族館で働く飼育員と学芸員、MBARIで働く研究者と技術者の連携です。得意を活かした分業をおこなうことで、一個人ではとてもできないレベルの最先端の研究をおこなっており、とても感動しました。
いい意味で価値観が変わったように思います。モチベアップ!!頑張るぞー!
どうにかまとめましたが、ほんとは紹介したい展示がもっともっとたくさん(ラッコとかシーフード・ウォッチについてとか)ありました。機会があったらぜひ行って実物を見てみてほしいです。
さて、次は一番書きたかった野生動物編。先ほども書きましたが、モントレーの自然は本当にすごかったです。お楽しみに。
バックナンバー
[ 2024年09月19日 Kurage con 2024 in Monterey ~研究発表編~ ]