2024年11月21日
トリーター:藤田

ひっそりクリーニング

みなさん こんにちは。
ここ数日であまりにも急に寒くなったので、毎朝何を着ればいいのかよくわからなくなっています。
身体もびっくりの気温変化ですので体調を崩さないように暖かくしましょう。

さて、先日の閉館後の見回り中、相模湾大水槽の一角でおもしろいことがありました。
場所は私たちが丸窓と呼んでいる、スロープの途中の丸い窓のさらにすみっこです。

相模の丸窓相模の丸窓このあたりこのあたり

ちょっと見えにくいのですがこの写真を撮ったタイミングではネコザメがいました。(写真中の白い丸)
ここは暗い場所なので、夜行性のネコザメたちがよく休んでいることがあります。
それが先日はここにネコザメではない魚が居座っていました。

ヤイトハタヤイトハタユカタハタユカタハタ

どちらもハタ科の魚で日中は暗い岩陰でじっとしていることが多いです。
相模湾大水槽のヤイトハタとユカタハタはそれぞれ1匹ずつしかいないので、えのすいでは水槽をよーく探さないとなかなか出会えない魚です。
さて、そんなハタたちもおすすめの魚ではあるのですが今回ご注目いただきたいのはハタたちのお腹の下にいる生物、イセエビです!
イセエビは夜行性なのでこのような暗いところを好んで生活しています。
偶然ハタのお腹の下にいただけなのかと思いきや、なにやら互いに触れ合い、干渉しているようです。


イセエビは触覚をちょこちょこと動かしてユカタハタの体に触れています。
というより、どちらかといえばユカタハタがイセエビの触覚に体を擦りつけているようにも見えます。
これは野外でたまに見かける、アカシマシラヒゲエビやオトヒメエビなどのエビの仲間がハタやウツボといった魚の体表の寄生虫や口内の食べカスを取って食べる、クリーニング行動に似ています。

これは私の想像ですがユカタハタはイセエビに体を擦る感覚が気持ちいいのだと思います。
この岩の陰には数匹のイセエビが群れているので、もしイセエビにとってユカタハタとの接触が嫌なら岩の下に逃げ隠れることもできるはずです。
しかしそうはせずに、ユカタハタの接触を許し自らもユカタハタを触るような行動をとるということは、互いに何かメリットがあるのかもしれません。

このようなおもしろい行動が水槽の目立たないところで日々繰り広げられています。
すみずみまで水槽を観察していると新たな発見があるかもしれませんよ。
ぜひ探してみてくださいね。

相模湾ゾーン

RSS