2025年02月23日
トリーター:村井

えのすい初のアオリイカ繁殖個体

みなさんこんにちは。
新人トリーターの村井です。
今回はアオリイカのお話です。

以前のトリーター日誌でアオリイカが水槽内で産卵行動をとっていることを紹介しました。
今回はその時に産卵された卵から生まれた稚イカたちが展示デビューを果たしたのでご紹介します!
アオリイカの産卵が始まったのは2024年の10月頃のことでした。

これがアオリイカの卵です。卵が 5 ~ 6個入っている房をたくさん産み付けます。一つの房の大きさは8cmぐらいです。


産卵されてから7日の卵のようすです。
卵を房から出してみると中身がくるくると回っていました。

産卵から10日の卵ではイカの形ができ始めました!

どのあたりがイカか分かりますか?

こんな感じです。
胴体の中に、この先内臓になる部分が透けて見えていますね。
この時期の臓器が正常に機能するのかは分かりませんが、外套膜(がいとうまく)を動かすようすや腕が動くようすが確認できました。
左側の大きな丸い部分は卵黄です。イカになるための栄養が詰まっています。

産卵から20日のようすです。

だいぶイカの形になりましたね。
後は腕に付いている卵黄を吸収し、卵の中で 1cmぐらいまで成長すると生まれてきます!

生まれた直後のイカのようすです。
写真の上の個体が孵化後1日、下の個体が孵化後3週間です。

孵化後1日の上の個体は全長 1 cmととても小さいですがもう立派なイカです!
色素胞もちゃんと持っているので黒くなったり白くなったりします。体のバランスが幼く見えますが、大人のイカとほとんど変わりません! 生まれたばかりの赤ちゃんは小さめのエビの仲間(イサザアミ)をたくさん食べて大きくなっていきます。

海のハンターといわれるイカですが、初めの頃は狩りが上手ではありません。観察していると、イサザアミを食べようと追いかけるものの途中でやめてしまうようすや、アタックするものの取り逃がしてしまうようすを頻繁に見かけました(笑)

写真はイサザアミを捕まえようとしたものの逃げられてしまい、勢い余って水槽にくっついてしまった時のようすです。
きっと全力でイサザアミに飛びかかったのでしょう。全ての腕を目一杯広げて水槽にくっついています。この後頑張って剥がれて、しばらく何事もなかったかのように漂ってからもう一度チャレンジしていました。一生懸命生きている感じがしてとてもかわいらしいですね。

イサザアミでは餌が足りなくなってきたら(大体生まれて約 1か月)ボラの子どもやメダカなど小さめの魚を与えてどんどんイカを大きくしていきます。

そしてついに!
休館日明けの 1月24日から展示水槽にデビューしました!!
生れて約 3か月で全長10cmにまで成長しました!


水槽に出した時のようすです
みんな揃って腕をV字に広げています。万歳しているみたいでとてもかわいいですね。腕をV字に広げる時は威嚇をしているみたいなので、急に広くて深い水槽に移動してびっくりしてしまったのかもしれません。

そしてなんと、急に広い水槽に引っ越したからかイカたちの食欲が大爆発! 今まで以上にたくさんの餌を食べ、日に日に大きくなっています! 展示デビューして 1か月ほどたちますが、大きい個体は全長15cmほどに成長しています! 1か月で1.5倍の大きさになっています。恐ろしい成長速度です。最近では冷凍の餌に少しずつ慣れてもらっています。冷凍の魚を小さめに切ったものを棒につけて挑戦です。


腕に味覚を感じる器官があるので、映像のようにツンツンしてこれは食べ物だよということを認識してもらいます。


上手くいくとこんな風に抱えて食べてくれます。
今回は途中で魚を手放してしまいましたが、抱え込んで食べてくれることも増えてきました。
ここから少しずつ慣らしていって最終的には冷凍の餌を上から落としただけで食べられるようにすることが目標です!

たくさん食べて大きくなってもらって、次の世代の飼育もできるよう頑張ります!
少しずつ育っていくようすを見に来てくださいね!

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