みなさんこんにちは。
私たちクラゲ担当は毎日江の島の海で採集をおこない、その日に見られるクラゲを紹介しています。今回は、江の島よりも近い?! 最も身近な場所でのクラゲ採集のお話です。
ある日、バックヤードのリュウキュウスガモの水槽で作業をしていた加登岡トリーターから「水槽にクラゲがいる!」と教えてもらいました。
リュウキュウスガモは沖縄などの暖かい海でくらす海草の仲間です。
目を凝らして水面近くを見ていると、1mmほどの小さなクラゲがぴょこぴょこ泳いでいました。私たちにとって最も身近な場所とは、水槽のことです。
毎日水槽を観察していると、フィールドに出なくてもクラゲと出会えることがあるのです。
これにはクラゲの一生が関係しています。
一生についてもう少し知りたい方は、こちらの日誌(2024年03月29日 クラゲの赤ちゃんのはなし)をご覧ください。
プラヌラ幼生は海中を漂い、岩などにくっついてポリプになります。ポリプは、さまざまな環境に適応し、餌や水温の条件が良いとどんどん増えていきます。
相模湾大水槽や、皇室ご一家の生物学ご研究のハゼの水槽でもクラゲのポリプが見つかることがあります。また、水槽のアクリル面に小さなハイクラゲが増えていたこともありました。
“えのすい” では目の前の海水を使っているので、相模湾で見られるクラゲやポリプが、突然水槽に現れることがあります。
しかし、加登岡トリーターの話によると、リュウキュウスガモがやってきたときから葉にポリプがついていたとのことです。つまり、今回のクラゲは暖かい海のクラゲで、珍しい種の可能性も・・・?! 水槽内の小さな発見が、大発見につながるかもしれません。そこでリュウキュウスガモの一部の葉と、見える限りのクラゲを“採集”し、観察してみました。
こちらは、大きさ1mmの稚クラゲです。
触手の先に小さなぽんぽんが付いています!なんとかわいらしいクラゲでしょう。ずっと見ていられます。
口は細長く、触手の付け根には赤い眼点があります。オオタマウミヒドラやジュズクラゲなどのタマウミヒドラ科のクラゲと似ていますが、初めて見るクラゲでした。今、研究者の方にも協力いただきながら種同定をおこなっているところです。
白丸の葉についているふさふさしたものがポリプです。
水槽内での小さな大発見、まだまだたくさんあると思いますので、楽しみにしていてください!