みなさんこんにちは! 獣医師の亀谷です。
きょうは水族館にいる動物たちの採血をおこないました。
実は、動物の種類によって採血をおこなう部位が変わってきます。
今回はその違いについてご紹介します。
まずはイルカから!
イルカはどこから採血するかというと・・・
尾びれにある血管からです!
尾びれの付け根から末端にかけて、うっすらと色が変わっている部分が見えますか?
黄色い矢印のところに血管があります。
血管が走っている箇所を触ってみると、他の部位に比べて少し柔らかいです。
採血をおこなう前に必ず触って位置を確認します。
イルカによっては、尾びれの血管のラインがわかりやすい子もいます。
続いてオットセイとオタリアの採血について。
どこから採血するかというと・・・
後肢の水かきの間にある血管からです!
イルカと異なり、オットセイとオタリアの採血では、指で血管を圧迫し、血管を見やすくします。(人の採血では、腕にゴムバンドやチューブを巻きますよね。それと同じ原理で駆血と言います。)
また、水中にいたり周囲の温度が低かったりすると、体温を逃がさないように血管が収縮して細くなります。 そこでオットセイやオタリアの採血をおこなう際は、温めたタオルやお湯をかけるなどして血管を広げてから実施します。
これらがとても大切で、何もしていない状態の水かきを触って血管を探すのはとても難しいのです。
本日最後はペンギンです。
ペンギンはどこから採血するかというと・・・
翼にある血管からです!
橈骨(とうこつ)と尺骨(しゃっこつ)と呼ばれる2つの骨の間を走っている血管で採血をおこないます。
イルカやオットセイなどと比べて血管が細いため、少し針先がずれると血液が採れなくなることもあります。
採血をおこなう前にしっかりと骨と血管の位置を確認します。
今回は採血の部位に注目して紹介してみました!(今回ご紹介したのは、“えのすい” で主に採血をおこなっている部位で、そのほかの部位で採血をすることもあります。)
“えのすい” では他にも採血を実施する生き物がいるので、次回のトリーター日誌でご紹介いたします!