2025年06月30日
トリーター:亀谷

みんなそれぞれ! 採血部位 第二弾

みなさんこんにちは! 獣医師の亀谷です。
前回のトリーター日誌ではイルカとオットセイ、オタリア、そしてペンギンの採血部位について紹介しました。今回はその第二弾ということで、前回紹介できなかった動物たちの採血部位についてご紹介していきます。

まずはアザラシから! アザラシは主に 2か所で採血をおこなっています。

どこから採血するかというと・・・

後肢の付け根にある血管からです!
ここを走る血管は、目視ではもちろんのこと、触ってみてもどこに血管があるのかなかなか分かりません。これまでの経験とわずかな感覚を頼りに血管を探りあてます。

そしてもう一つの採血部位は・・・

後肢の先端にある血管です!
こちらは先ほどの後肢の付け根とは異なり、目視でも血管が走っているのがわかります。
前回のトリーター日誌でも紹介しましたが、オットセイやオタリアの採血では、血管を浮かび上がらせるため、お湯を使ったり駆血をしたりします。アザラシの後肢の先端にある血管も同じようにお湯をかけて駆血をおこない、採血しやすい状態にします。


続いてウミガメの採血について!
ウミガメはこれまで紹介してきた動物たちとは全く違うところから採血をおこなっています。

どこから採血するかというと・・・

首にある血管から採血をおこなっています!
こちらの採血部位も目視ではどこに血管があるのかは分かりません。採血をおこなう前に必ず触診をしてあたりをつけてから針を刺します。
もう一つの特徴として、採血に使用する針が他の動物たちと異なります。これまで紹介してきた動物たちの採血では翼状針と言って、針が短くチューブがセットになっているものを使っていますが、それに対してウミガメは、なんと 7cmほどの針を使って採血をおこなっています。血管の位置が見えないだけでなく、深いところにあるのがウミガメの首にある血管の特徴です。


最後はサメの採血部位について紹介します!
今回はトラフザメの採血について。みなさん、どこから採血をするか想像できますか?

トラフザメの採血はどこからおこなうかというと・・・

臀鰭(しりびれ)の付け根から採血をおこないます!
サメの種類によって採血部位が変わることもあり、トラフザメやネコザメなどでは、この部位の鱗が薄いため、比較的針が刺しやすくなっています。
血管は脊椎に沿って走っており、もちろん目視では確認できませんので、体軸に対して垂直に刺すことを意識して採血をおこないます。


さて、今回はアザラシ、ウミガメ、そしてサメの採血部位について紹介しました。生き物によって採血する部位や使用する針も大きく異なってきて、興味深いですよね。
“えのすい”では、生き物の健康チェックの一環として採血以外にも、さまざまおこなっている検査があります。
今後のトリーター日誌でまた紹介いたします。

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