2025年07月20日
トリーター:松田

おくすり飲めたね

みなさんこんにちは!
関東も梅雨明けしたようですね。 梅雨明け前も暑かったですが、これからはその暑さに拍車がかかるのでしょうか。
みなさんは暑さにやられて体調を崩さないようお気をつけください。 私は先日体調を崩してしまいました。 まさに獣医の不養生、松田です。

そんな訳で私も先日病院に行き、おくすりを処方してもらいました。
錠剤を何種類かもらって、お医者さんの指示通りに服用し、翌日にはほぼ復活です。
私もいい大人になりましたので錠剤くらいは するっと飲めるようになりましたが、粉薬は小さい頃から苦手です。 粉が口や喉にまとわりつく感じがなんとも・・・。

ですが獣医師になった私は、ときにおくすりを処方する側になりました。
思いはあれど、生き物たちに 「これ飲んだら体調良くなるからね・・・!」 ということを理解してもらうのは難しいので、工夫をしながらおくすりを飲んでもらっています。

“えのすい”では錠剤のおくすりを使うことが多いです。 錠剤は普段生き物たちのごはんである魚のえらの中に入れてしまいます。 イルカやアシカ、アザラシ、ペンギンなどは魚を丸呑みして食べてしまうので、魚の中に隠してしまえばほとんどの場合問題なくおくすりを飲んでくれます。

ですが、少し前から私も嫌いな粉のおくすりを飲んでもらっているイルカがいます。
それがバンドウイルカの「サワ」。 消化が少し悪くなることがたびたびあり、消化を助けるおくすりを使おうという話になりました。 しかしそのおくすりが粉タイプ。 それまで私は粉のおくすりを生き物に使ったことがなかったので、どうやったら上手く飲んでくれるだろう・・・ と悩みました。 魚に入れるのも粉では難しいだろうし、水に混ぜて口から飲んでもらっても、もし吐き出してしまったら十分量の投与ができないかも・・・、などなど。
いろいろ検討はしましたが結局答えは出ず、一度「サワ」担当の先輩トリーターに相談してみることに。 すると「以前働いていた水族館では、オブラートでくすりを包んであげていた」と教えてくれました。 オブラート! その発想はありませんでした!

それでは、現在もおこなっている「サワ」への粉薬投与作戦をお教えします!
まず、カップ型のオブラートに、粉薬を入れます。 量が多いので、1回量を 3つのオブラートに分けています。

粉を入れたら、オブラートのふちを寄せて少しねじり、水で少し湿らせます。 オブラートですので濡れるとくっつきます。

はい、できあがりです。 ア〇ロチョコみたいなかたちになっています。

これを「サワ」に飲んでもらうのですが、最初はちゃんと飲んでくれるか心配でした。
まずはオブラートをさらに魚でサンドイッチして与えてみたりしていたのですが、現在では・・・。



なんとオブラート単体でもぺろり。 この日は口からこぼれたオブラートも自分で拾って食べています。
私たちの心配はどこへやら。 これだけ獣医師にとって助かることはありません。 きっと、トリーターからもらえるものに変なものはないという今までの信頼がこうさせているのだと思います。
ありがとう「サワ」さん、そしてこれまでの「サワ」担当さん。

おくすりはおいしくないものも多いですが、処方する側も意地悪でそれを飲めと言っているわけではありません。
このトリーター日誌を読んでくれている少年少女諸君は、お医者さんとおくすりを信頼して、どんなおくすりでも飲める強い患者さんになってください。

イルカショースタジアム

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