6月某日の早朝、私は三浦半島の先端を目指して一人社有車を走らせていました。その日のミッションは、東京大学大学院理学系研究科附属臨海実験所(通称「三崎臨海実験所」)が開催する「自然観察会」にオブザーバーとして参加すること。三崎臨海実験所といえば、日本で初めてつくられた大学附属の臨海実験所です。その長い歴史の中で、さまざまな海洋生物を対象とした最先端の研究や教育活動がおこなわれており、当館でもアオミノウミウシやカツオノエボシ、ギンカクラゲなど、さまざまな研究でとってもお世話になっています。
この自然観察会では、みんなで実験所のすぐ近くにある磯で生物たちを採集 & 観察していきます。まずは、このあたりの磯事情を知り尽くした「磯のプロ」たちから磯観察のこつや触ってはいけない危険な生物、採集してはいけない生き物(ナマコなど)についての説明を受けます。毎年えのすいでも江の島での磯観察イベントをおこなっていますが、場所が変わればいる生き物も変わります。ここではどんな生き物がいるのか、研究者の目線から教えてもらえることが私にとってはすごく新鮮でした。
さて、説明を聞いたあとは待ちに待った生物採集! どんな生き物が見られるでしょうか。私ももういい大人なので、しっかり! 周りを見ながら! 参加者のみなさんと一緒に生き物を探していきます。
はっ! 気付けば夢中になって大好きなクラゲのポリプやウミウシを探していました。ここの磯、すごく面白いです。ごろごろと石がたくさんあり、ひっくり返すたびに生き物がもぞもぞと出てきます。しかも、分からない生き物がいても先生方がすぐに教えてくれる…! なんてぜいたくな磯観察でしょう。
採集した生き物たちは実習室でざっくり分類群ごとに分け、各自が気になる生き物を図鑑で詳しく調べていきます。そして、ここからは先生たちによる解説タイム。
顕微鏡とスクリーンを使いながら、これはどんな生き物なのか、どんなすごい能力があるのか、どんな研究がされているのかなどを解説してくれました。しかも、その先生の専門の生き物となると一気に白熱していて、すごく面白かったです。いろいろ採れた中で特に私が面白いと思った生き物はこちら。
チゴイソアワモチ。名前がかわいい。粟餅て。背景に溶け込むこの見た目、私は磯で見つけられる自信がありません。ケースから脱走を図っていたのもかわいかったです。
フジエラミノウミウシ。色が美しすぎる。ミノが青く先端は黄色でこれってカツオノエボシの栄養個虫みたいですね。ミノウミウシ…好きだなあ。
パンダメリタヨコエビ。かわいい名前。白黒カラーがまさにパンダ(種小名も panda!)です! 本種は2024年に新種として記載されたばかりのヨコエビなのだとか。
こんな感じで、たくさんの生き物と出会うことができました! 参加者のみなさんそれぞれに、はまる生き物が見つかったのではないでしょうか。この世のすべてが「知れば知るほど面白い」と思いますが、磯観察はまさにそれ! そこにいる生き物たちを知れば知るほど、ただのごつごつした磯がきらきら輝いて見えると思いますよ。海の魅力をお伝えするために、私ももっともっと海で遊んで勉強していかねば! と改めて強く感じました。
三崎臨海実験所のみなさん、参加者のみなさん、すてきな自然観察会に参加させていただきありがとうございました! ぜひまた遊びに行かせてください!