涼しい日が続き、過ごしやすい季節になりましたね。
暑いときは早く秋が来てほしいと思っていましたが、涼しくなると日が短くなりなんだかさみしく感じてしまいます。
夏前ごろ、定置網に入ったイトヒキアジを漁師さんからもらい、潮溜まり水槽で展示を始めました。和名の由来の通り、糸を引くようにひれの先端が長く伸びているのが特徴で、水槽を見ているお客さまからも「あの魚何だろう」という声がよく聞こえてきます。体はきらきらと銀色に輝いており、イトヒキアジが群れで泳いでいるところを見たあるトリーターは「流れ星みたい」と、なんともロマンチックな表現をしていました。
大きくなると 1m 前後にまで成長するといわれていますが、現在展示しているイトヒキアジはまだ 10㎝ ほどの小さな個体です。成魚になると、特徴であるひれは短くなり、反対に吻(ふん)先から頭部にかけては長くなるそうです。えのすいに入社して 1年半、何度も小さなイトヒキアジが搬入されていますが、なかなか大きく育てることができていません。
その原因のひとつはベネデニアの寄生です。以前トリーター日誌( 2024/10/9 )でも紹介した、水族館ではよく目にする寄生虫のひとつです。魚の体表や眼に寄生して粘液を摂取し、寄生された魚は体表がただれたり、かゆみから体を岩などにこすりつけることで感染症を引き起こしたりすることもあります。
イトヒキアジはベネデニアがとてもつきやすく、駆虫薬を投薬していてもすぐに寄生されてしまいます。大量のベネデニアに寄生されたイトヒキアジは餌を食べなくなり、体力がなくなって数日後には死んでしまうことが多いです。そこで寄生される前に、定期的に淡水浴をおこなうことを続けてみました。これが案外うまくいき、最初は 5日おきに淡水浴をしていたのですが、徐々に間隔を延ばして 10日ほど間隔があいても一切ベネデニアがつかなくなりました。実は今展示している個体も、潮溜まり水槽に移動してすぐに寄生され、ひれも短くなってしまったのですが、今まではすっかり元気に。
短くなってしまったひれもだんだんと元の長さまで伸びてきて餌もよく食べてくれています。この調子で少しずつ大きく育てていきたいと思います!