
コトクラゲの幼生育成、今年も始めています。
先日の江の島沖での水中ドローン調査にて、成体を採集した際に、キャニスター(採集した生物を収容する容器)内に百数個体の幼生が放出されていました。
バックヤードでの育成とあわせて、11月14日よりクラゲサイエンスでも展示を開始しています。
初めて幼生の育成に取り組んだのは、3年前の 2022年。 この時も成体を採集した際に4個体の幼生がいることに気付き、どうにか1個体を着底させられるところまで育成、飼育することができました。
1年ほど飼育できたのですが、あまり大きくさせることができず、成体とまではいけませんでした。 その経験をもとに、昨年 2024年は、9月に採集された成体を飼育中、12月頃から幼生が生まれ、試行錯誤の結果、立派な成体の姿になるまで大きくさせることができました。 さらに現在は、深海Ⅱで環境展示を行うことができています。

先日の水中ドローン調査で採集された個体も一緒に展示しています。 まだら模様のものが採集個体、ライン模様の個体がえのすい生まれえのすい育ちの個体です。
幼生に関して、親の栄養状態が要因なのか、放出するタイミングの問題なのか、採集時に成体から放出された幼生のほうが少しだけ大きい印象があります。
大小いますが、当館で放出が確認された幼生は 約2mmのものがほとんどでしたが、2022年と今年のものは3~4mmくらいです。
いろいろと気をつけなければいけないことや前回の反省点も含めて、今回は前回よりも生存率と成長率が上がれば良いなと思います。
目指せ、コトクラゲの常設展示。 そして、水族館だから見せられる成長の過程や個体がたくさんいる風景などが実現できるよう頑張ります。
貴重な生物ですが、誰もが知るポピュラーな生き物になってくれたらうれしいなと思います。
コトクラゲの成長をともに見守ってください。
新しい生き物たち
[ 櫛板があるのは今だけ!貴重 コトクラゲ(幼生) 展示中 ]
オーシャンショット研究助成事業は日本財団の助成を受けて笹川平和財団海洋政策研究所によって実施されている。
新江ノ島水族館は、JAMSTECと深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究をおこなっています。