2026年03月28日
トリーター:濱田

オタリア「ディラン」の採尿 完

みなさん こんにちは!
えのすいトリーターの濱田です。

きょうは1年以上前に書いたトリーター日誌の続き、集大成を書いていきます!
ちゃんと諦めずに毎日続けました!
以前の日誌はこちら → [ 2025年01月12日 オタリア「ディラン」の採尿

“えのすい” にはオタリアとミナミアメリカオットセイという2種類のアシカの仲間がいます。
まとめてアシカと言ったり、鰭脚(ひれあし/ききゃく)類と言ったりしています。
「ディラン」は8歳のオタリアのオス。現在の体重は 215kg!!
最初に担当になった4年前は 160kgだったので、55kgも大きくなっています!
本当に大きくなったね~
毎日お世話をしているとこんなに大きくなったとはあまりわからず、改めて数字で見るとびっくりです!

まずはざっと前回の振り返りから。
「ディラン」の行動を観察、分析し排尿パターンがわかってきました。
当時、採取できた量は 約1mlと本当に微量でした。
この微量な尿では、採取容器の共洗いもできず、体の水分が滴ってきているだけなのかわからなかったので、これを機に「毎日排尿を確認する」という基本の部分から再度見直すことに。

やることを文字にすると、とてもシンプルです。
ごはんを食べ終わった後に排尿をしたら、魚をあげて褒める。 これだけです。
これを続けることで「ディラン」に「排尿すれば褒められる」と理解してもらい、毎日、毎回確認できるように狙います。

けれど、そんな上手くはいきません。
魚をあげるタイミングを失敗すると、違う行動の頻度が上がります。
ましてや排尿のタイミングなんて毎日ばらばらだし、ごはんの後に排尿する行動が習慣化されるのか? と思うことも。
いろいろな疑問はあれど、しっかりと「ディラン」の行動を見極め、伝えたいことが伝わっているかを根気強く確認しました。

流れはこんな感じ。

1. ごはん終わりの合図を出す。

2. 後肢をプールにつける。

3. スプーンを持って排尿するまで待機。

4. 排尿確認直後、近くに呼ぶ。

5. スプーンが体につかないように採取。

スプーンが 10mlサイズなので、最大 10ml。
調子が良ければ 10ml以上採れそうなときもありました。

2025年 12月からやり始めた採尿の取り組みは、2026年 2月 23日、662セッション目に 10ml採取することに成功しました!
決して平坦な道ではなく、時には厳しいご指摘をいただいたこともあります。
けれど 約1年3か月、諦めずに毎日記録し続けたことが結果として出たのはやり続けて良かったと思えた瞬間です。

さて、採取した尿はどうしているかというと、専用の試験紙を使って検査をしています。

試験紙に尿を垂らすと、試験紙が変色し結果が出ます。
わかったことは、
・蛋白質は ±15か +30がほとんど出る。
→ 理由としては、精子が尿に混じっていることもわかり反応している。
・潜血は体にスプーンが当たると溶存ヘモグロビンが±か+になる。
→ プールや毛の水分、魚の血汁等の影響で反応している。
この結果、潜血が出ていなければ新鮮な尿と断定できるかなと。

もうひとつ調べているのが、尿比重。
簡単に言うと、この濃度によって腎臓の状態を評価することができます。

青と白の境界線で判断するのですが、右側の数値は 1.040 over。
合計 14回の結果、たまに 1.032~1.038も出ることはありますが、「ディラン」の基準値は 1.040 overとわかりました。
サンプル数が少なく、オタリア全体の基準値がこれ! とは言えないですが、まずは「ディラン」の基準値が判明しました。

以前も書きましたが、アシカ、オタリア、オットセイといったアシカ類の採尿というのは日本ではあまり聞いたことがありません。
ということは、データがあまりないということです。
今後は違うアシカでも実施し、サンプル数を増やし、尿による健康状態の把握をしていきたいと考えています。

合計採尿回数は 23回。 連続確認記録は 86日。セッション数は 701回。
2024年 12月から 2026年 3月までの記録でした。

最後まで読んでいただきありがとうございました! 長々と書いたトリーター日誌もこれでおしまいです。

「ディラン」!本当にありがとう。

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