前回、シリンジと針についてお話ししましたが、今回は少し大きな機械のお話をします。えのすいでは動物たちの検査や治療のために、たくさんの機械を所有しています。その時の動物の状況によってさまざまな機械を使用し治療します。
まずはこちらの機械から。
これは超音波診断装置。

高い周波数の音波を体内に照射し、組織から跳ね返ってくる反射波をリアルタイムで画像化する装置です。お腹の中にいる赤ちゃんのようすや、腸の蠕動(ぜんどう)運動、腎結石などさまざまな症状を見ることができます。
えのすいでは 3台の機器を持っていて、その時の動物の状況によって使い分けています。液晶画面が付いているものや、映像をリアルタイムにスマートフォンで見ることができるワイヤレスのものなど使用目的によって使い分けています。

ワイヤレスの超音波診断装置。

2025年 1月ミナミアメリカオットセイ「ライラ」の胎子エコー。「ライム」が母「ライラ」のお腹の中にいた時の超音波画像です。胎子の成長を、超音波を使用し定期的にモニタリングしていきます。

2018年 アオウミガメ「ノンキ」の卵胞エコー。丸く映っているのが卵胞です。
次は、X線診断装置(レントゲン)。

体にX線を照射し、骨や臓器を透過して放射線の濃淡を画像化することで、体内の状態を調べる装置です。骨の状態を容易に観察することができるので、骨折や関節炎、そして肺炎の診断に使用します。レントゲンは 2台の機械を持っています。

2025年 フンボルトペンギン「コメ」全身レントゲン。内臓の大きさの変化や膝や股関節の関節炎の進行具合などを観察し、この体勢以外に他 4方向から撮影します。15歳以上の高齢ペンギンは年に 2回、それ未満のペンギンたちは年に 1回の検査を実施しています。

2025年 パービャウ(淡水魚)のレントゲン。なぜパービャウのレントゲンを撮ったのか… この画像をじっくり見れば分かる人もいるかも。実はこの時、給餌に使う棒の針金を飲み込んでしまい、急遽レントゲンを実施しました。レントゲン写真にはしっかりと針金が写っています。幸い、口を開けたところで止まっていたのでピンセットで取り除き、無事に水槽に戻りました。
次は、内視鏡。

先端に超小型のカメラを搭載した細長い管を体内に挿入し、消化管や気管支など内部をリアルタイムの映像で観察、診断、治療することができます。胃潰瘍や異物誤飲の確認や除去、人工授精などで使用します。こちらも 2台の機械を持っていて、動物種や状態に合わせて使用しています。

2025年 バンドウイルカ「ニコ」の食道。

2024年 アオウミガメ「ティダ」の食道のようすです。ウミガメ類は口から食道にかけて、後ろ向きにとげとげした突起がたくさん並んでいます。捕獲した獲物の逆流を防ぐ役割を果たしているといわれています。ウミガメの食道はとげとげしていると聞いたことはありましたが、初めて自分の目で見た時は本当にとげとげしているんだ!と思ったことを今でも鮮明に覚えています。
えのすいでは 3名の獣医師が常駐しており、メディカルトレーナーの私を含め 4人で館内のすべての生き物たちの健康管理をおこなっています。もちろん飼育しているトリーターたちと一緒に。私たち医療チームの毎月のスケジュールは鯨類、鰭脚類、魚類、ウミガメたちの検査予定でいっぱいです。しかし、予定をしていても、動物たちの急変によってそれ以上の検査や治療が入ってくることがあります。そんな時でも、状況に合わせて柔軟に動けるように日々機械のチェックや薬品の管理をおこない、動物たちの健康管理に努めています。
人も動物も健康第一! 2026年度もみんな元気に過ごしていきましょう!
まだまだ紹介したい機械がたくさんあるので、また次回紹介します。
今日の一枚!ステージの上に上がるバンドウイルカたち
