2026年06月16日
トリーター:霜鳥

クサフグの成長記録

先日の 加登岡トリーターの日誌 に続き、私も 園山トリーターからのバトン を受け取ろうと思います。

現在、私が繁殖・育成を担当しているのは、クサ〇グ改め、「クサフグ」です。


クサフグは、毎年5月から7月ごろにかけて、大潮の日に、波打ち際に産卵に訪れます。
江の島の磯でも見ることができ、この時期のちょっとした風物詩にもなっています。

私も今回初めてクサフグの産卵を観察しました。
思っていたよりも規模は控えめだったのですが、果敢に波打ち際に集まって産卵するようすを見ていると、必死に子孫を残そうとする姿に、なんともいえない感情になりました。

産卵にやってきて波打ち際に打ち上げられたクサフグ産卵にやってきて波打ち際に打ち上げられたクサフグ


そのなかから数匹をえのすいへ持ち帰り、人工授精をおこないました。
おなかを軽く刺激し、卵と精子を絞り出してミックスさせます。


人工授精直後の卵人工授精直後の卵


ちなみに野外でクサフグを捕まえるタイミングと、人工授精をおこなうにあたってバケツからクサフグを取り出すタイミングとで、私は2回かまれました。
さすがに2回目の時には、Sトリーターからの「なんでこいつはこんなにかまれるんだ…?」という冷たい目線(霜鳥主観)を浴びて恥ずかしくなりましたが、クサフグとの接し方の経験不足ですかね…?
幸い血は出ませんでしたが、例えるならペンチで挟まれたような感じの痛みでしょうか、やはりフグのかむ力は強いんだなと再認識しました。
相模湾大水槽にいる大きなイシガキフグなんかにかまれたらどうなってしまうのでしょう。
しっかり気をつけながら接したいと思います。

さて、話をもとに戻しまして、授精直後の卵を顕微鏡で観察してみるとこんな感じです。

人工授精当日の卵人工授精当日の卵


ここからどんどん発生が進み、3日後には目や尾がはっきりと確認できるようになります。

人工授精3日後の卵人工授精3日後の卵


4日後にはさらに魚らしい姿に。

人工授精4日後の卵人工授精4日後の卵


そして、人工授精から5日後に、無事孵化しました!!
意外とあっという間でした。
写真右上に卵の殻、左下に生まれたての仔魚がいます!

孵化が始まりました孵化が始まりました


そしてこちらが、生まれたばかりのクサフグの写真です。

孵化直後のクサフグ孵化直後のクサフグ


ここから一週間も経つと、だいぶクサフグらしい姿になってきます。
よく動くので、写真を撮るのも一苦労です。

孵化6日後の写真孵化6日後の写真


最近はもっと成魚に近い姿になってきました。

孵化22日後の写真孵化22日後の写真

大きさは約1cmほどになり、フグらしく膨らんだりするようすも見られるようになりました。
そして、えさをものすごくよく食べます。
現在は、アルテミアという動物プランクトンをあげつつ、小さな粒の配合飼料も少しずつ与えています。
たくさん食べて、早く大きくなってほしいものです。

もう少し大きくなったら、展示水槽にたくさんデビューさせられるかと思います。

クサフグは水槽飼育下では自然産卵をなかなかおこなわないのですが、人工授精によって繁殖ができれば、累代繁殖にも挑戦できるかもしれません。
引き続き育成に取り組み、データを蓄積していければと思います。

…と、ここまでいろいろと書き連ねてきましたが、水槽で泳ぐ小さなクサフグたちの姿がとにかくかわいらしくて仕方ありません。
またどこかで続編をご紹介しますね!

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