2026年06月19日
トリーター:笠川

深海性のクラゲ

現在、クラゲは世界で約4,000種が報告されています。多種多様なクラゲがさまざまな場所に生息していて、身近なところから、なかなか行くことのできないところ、例えば、深海にもクラゲはたくさんいます。
深海調査にはそれなりの機材や技術が必要ですし、調査時間にも制限があります。また体が軟弱なクラゲは採集し維持することがとても難しいです。調査だけではわからないこと、生態や生活史を知るためには、飼育し長期観察することが必要になります。深海性のクラゲでも、そのクラゲのポリプを得ることができれば、深海調査へ出向かずとも、深海性のクラゲを見ることができます。ポリプはやはり重要です。ただ、そう簡単に、ポリプが得られ、維持でき、クラゲを育てられるかは別の話です。わからないことも多く、うまくいかないことのほうが多いです。少ない貴重な飼育機会の積み重ねで、少しずつできること、わかっていくことが増えていきます。

6月19日よりクラゲサイエンスにて、えのすい生まれのアマガサクラゲの展示を開始しました。名前から何とも今の時期にぴったりなクラゲですが、とてもめずらしいクラゲでもあります。
アマガサクラゲは深海性のクラゲで、駿河湾や富山湾、五島列島周辺で確認されています。なかなか探しに行って見つかるクラゲではありません。昨年、かごしま水族館の協力のもと、アマガサクラゲを初展示しましたが、今回は、当館でポリプからエフィラ幼生を遊離させ育成した繁殖個体です。以前は、ポリプの維持さえもできませんでした。今回は少し飼育方法を変えたところ、ポリプが一気に増殖し、エフィラ幼生も遊離するようになりました。本当に些細なことなのですが、そこがとても重要だったようです。基本の飼育方法は同じでも、やはりそれぞれの種類ごとで重要なことがあるんだなと改めて感じ、また他の水族館と情報交換していく中で、見えていなかった部分にも気付くことができました。

アマガサクラゲアマガサクラゲ

一歩進んで、さらに一歩。
アマガサクラゲは、ミズクラゲの仲間に分類されますが、その食性はミズクラゲとは異なります。ここも大変なポイントでした。まだ手探りのところもありますが、ようやく仔クラゲまで成長させることができました。今はまだ 1cmちょっとなので、あと20倍近く大きくなるはずです。まずは10倍を目指します。
深海にすむクラゲでも、身近で見られ、その成長の過程も見ることができる。
水族館ってすごい場所ですよね。

最後に、ぜひ、アマガサクラゲと合わせて、深海Ⅰのクラゲの標本も見逃さずにご覧ください。あと、コトクラゲもお忘れずに。深海Ⅱには、昨年の11月に採集された個体が、今も元気に展示継続中です。そして、皇室ご一家の生物学ご研究の小さなコトクラゲたちも展示継続中です。目指せ長期飼育、常設展示。深海の生き物たちがもっと身近な存在になるよう、深海への興味関心が深まるよう、展示継続を頑張ります。

もうひとつ最後に、6月19日より、クラゲサイエンスにて、オトヒメノハナガサ属の一種も展示しています。標本で見られるのもレアなのに、生きている状態なんて感動です。短期間かもしれませんが、図鑑で見るのとはまた違った印象を受けるかと思います。実際に見られるということはすごいことです。

オトヒメノハナガサ属の一種オトヒメノハナガサ属の一種

クラゲサイエンス

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