
クラゲを採集する方法はいくつかあるのですが、一番よくおこなうのが漁港などの岸壁からおこなう岸壁採集です。 もうひとつ陸上から水に入らずおこなうのが砂浜採集です。
察しがいいクラゲ通の方はわかったかもしれませんが、カツオノエボシなどは、砂浜に打ち上がったものを採集することがほとんどです。
しかし、今回はカツオノエボシの話ではありません。 打ち上がってしまったクラゲは、砂にまみれ、日にさらされ、乾燥し、時間が経てば死んでしまいます。 タイミングが合わなければ、生きた状態で採集することは難しいです。
ただ、その個体自体は難しくても、次につながる希望はあります。 成熟した個体が複数個体いれば、オス・メスで生殖巣を採取し、人工授精させ、受精卵 → プラヌラ幼生と進ませることができれば、ポリプ獲得の可能性があります。
ただ、成熟したオス・メスが状態良くいなければいけませんし、タイミングが合わなければ受精させることもできません。 これは数が少ないとより難しいです。
もうひとつ可能性があるのが、保育嚢をもったクラゲです。 基本、クラゲは、放卵放精し、水中で受精卵になるものが多いですが、種類によっては、メスがオスの精子を取り込み、保育嚢でプラヌラ幼生まで保有し、水中に放出するものもいます。 みなさんもよく知るミズクラゲがまさに保育嚢をもった種類です。
他には根口クラゲの仲間もいます。 この保育嚢をもった種類だと、たとえ砂浜に打ち上がってしまった個体からでもプラヌラ幼生を得ることができる可能性があります。
いくつかの条件が揃わないとポリプ獲得は難しいですが、この方法で、ポリプを得ることができたクラゲがいます。 9月 3日から展示を開始した、えのすい初展示、えのすい生まれのチリメンクラゲがまさにこの砂浜に打ち上がった状態からポリプを得ることができたクラゲです。 初展示、初繁殖のため、まだまだ手探りのところが多いですが、安定して育成できるよう頑張っていきます。
成長に合わせて、傘の縮緬はわかるようになってきたのですが、色は真っ白のままで、これから色付いていくのか、このまま白いままなのか、何か条件が必要なのかはわかりませんが、観察を続けていきます。 個人的にはきれいな薄紫色が出てきてくれるとうれしいなと思っているのですが、どうなるかはわかりません。 成長を見守りましょう。
出会いは突然。
朝、砂浜を歩いていたら、大きなクラゲに出会うかもしれません。
どこでどんな出会いがあるかはわかりません。
砂浜は思いがけないものが漂着してくることが多々あります。
こちらの心の準備ができていないので、本当にびっくりするような出会いもあります。
実におもしろいです。

2024年に、足立トリーターがタイでのクラゲ調査中に砂浜で出会ったチリメンクラゲ。
このクラゲの保育嚢からプラヌラ幼生を採取し、水族館へ持ち帰りました。