2007年05月19日

伊豆・小笠原弧 水曜海山(2)潜航開始 / 根本

  • 期間:2007年5月15日~ 2007年5月28日
  • 場所:伊豆・小笠原弧 水曜海山
  • 目的:小笠原海域調査
  • 担当:根本


きのうの朝、海域に到着し、潜航が始まりました。
今回我々が乗っているのは「なつしま」という船です。
昔は「しんかい2000」をのせる母船でしたが、現在は「ハイパードルフィン」という無人探査機を搭載しています。
先日おこなわれた海洋研究開発機構(JAMSTEC)の一般公開日でもご覧になられた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
ハイパードルフィンは 3,000mまで潜ることができます。
「しんかい6500」には深度では及びませんが、搭載されているハイビジョンカメラによって撮影された映像はリアルタイムで船上へ送られてきます。
したがって研究者全員が深海のハイビジョン画像が見ることができます。
研究者が一人しか深海のきれいな景色は見ることができない「しんかい6500」より優れた点です。
また多少荒れても潜ることができるのも有利な点です。
安全第一の「しんかい6500」では海が少し荒れると何日も待機しなくてはならないので、思うように調査ができないことがあります。
私は去年パプアニューギニアのビスマルク湾にあるマヌス海盆での調査に参加しましたが、大分待たされました。
朝起きて準備万端でまっているところに潜航中止がアナウンスされるのは、かなりがっかりします・・・。
でも船酔いで酔ってフラフラしているときは正直「助かった・・・」と思うときもあります。

さて、今回調査する場所は伊豆・小笠原弧にある水曜開山なのですが、山の頂上が窪んでおりカルデラ状になっています。
そのカルデラの中で熱水活動が起こっています。水深は約 1,400mです。
ハイパードルフィンが潜航し着底すると、周りは一面が砂礫で、その中に大小さまざまな岩の塊が転々としていました。実はその固まりがチムニーなのです。この海域ではチムニーが縦ではなく横に伸びてしまって岩のようになっているのです。
チムニーにはシンカイヒバリガイがびっしりくっ付いていました。
港の岸壁のイガイと同じ感じです。シンカイヒバリガイはイガイの仲間なので同じような生態をもっているようですね。
そのシンカイヒバリ床の中にユノハナガニやオハラエビが隠れています。
実は水曜海山は生物の多様性が低く、大型の生物では数種類の魚やユノハナガニ、オハラエビ、シチヨウシンカイヒバリガイくらいしかいません。
あとは小さな巻貝と傘貝くらいでした。
きのう、きょうの生物採集ではシチヨウシンカイヒバリガイやユノハナガニ、オハラエビなどが採集されました。


海洋研究開発機構(JAMSTEC)NT07-08「なつしま/ハイパードルフィン」による小笠原海域 調査潜航

新江ノ島水族館は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています。

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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