本日からハイパードルフィンの潜航が始まりました。
準備しておいた機材をどっさりと抱えて深海へ。
きょうの潜航は 270mと 3000mの 2つ。
ハイパードルフィンがいかに優れたマシンであるかは、過去の航海日誌で語りつくされた感がありますから、ごく簡単にしますと、船の上から操作できる無人の潜水艇です。
きょうはきのう以上に波がうねっていますが、ハイパーは気にせずどしどし潜っていきます(もちろん、運航に携わる船員さんや運行チームのみなさんの力があってこそ)。
有人の潜水艇だとこうはいきません。
これから数日間の潜航の第一目標は、鯨骨と丸太を海底に置いてくることです。
その後で時間が少し余ったので、生物を採ってもらいました。
最初に潜った 270mは底がさらさらのサンゴ砂で、深海ながらも沖縄だなぁという感じです。
左手に装着したスラープガン(水中掃除機)で吸ってもらった砂の中を細かく見ていくと、小さなコシオリエビやカニが見つかりました。
また、水底で作業中にカンパチらしき魚が視界に入りました。ダイビングショー「フィンズ」でお馴染み、時速 40kmで泳ぐ肉食魚であるカンパチは、深海の生態系の上位に位置するこの海域の王者でしょう。闇から闇へキビキビと数往復泳いでからサッと消えていきました。
いつも見慣れた魚の意外な一面を味わいました。
2度目に潜った 2000mはお馴染みの泥底で、ハイパーが着底しただけでモクモクと泥ホコリ?が立ち上る感じです。
途中、フラフラと大きなオタマジャクシのような魚が近づいてきました。
欲しいけど、まさか採れないだろうなと思っていたら、なんと無駄のないスラープガンの裏拳のような動き!魚に逃げる隙を与えずゲットでした。
ハイパードルフィンの動きとパイロットの動きが同調していてカッコいい瞬間です。
魚が生きて陸揚げされることを祈りつつディープアクアリウムをセットして待ちましたが、残念ながら体が崩れてしまっていました。
こちらはせめて良い標本にして、展示できればと考えています。
[きょうの写真]
上/ザラザラチュウコシオリエビ?
下/ハリダシアシロ
浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら
どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。
打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。
浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。
どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。
海洋研究開発機構(JAMSTEC)NT08-12 「なつしま/ハイパードルフィン」による沖縄トラフ 深海生物調査航海
新江ノ島水族館は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています。