2008年07月06日

沖縄マングローブ調査(4)マングローブよいつかまた

  • 期間:2008年6月22日〜7月6日
  • 場所:沖縄
  • 目的:琉球列島陸域生物調査
  • 担当:伊藤


さて、マングローブの生物がいかに素晴らしいものか、きのうまでつづってきました。
とても楽しかったですが、楽しい楽しいで終わらせず、最後に石垣島の自然がかかえる問題について触れておこうと思います。

今回、石垣島でもっとも多く採集された生物は何だと思いますか?
実は日本の生き物ではないのです。
グッピー、ティラピア、オオヒキガエル(オタマジャクシ)です。
どれもものすごい数。
グッピーは鑑賞用やボウフラ退治用として、ティラピアは食用として、オオヒキガエルは害虫駆除用として日本に持ち込まれたとされ、主に亜熱帯の温かい地方で勢力を拡大しています。

外来生物の問題はいろいろなところで指摘されていますのでご存知の方も多いのではないかと思いますので、詳細は省きますが、実際に現場で目の当たりにすると、本当に深刻だと実感できます。
私は本州でもオオクチバスやブルーギルといった外来魚が在来のタナゴなどを追い詰めてしまった現場を見てきましたが、石垣島でも種類は違えど同様の「侵略」が行なわれているのが分かりました。
今回の調査では、特にマングローブ域より上流の小川などがひどくて、外来魚以外ほとんど採れなくなっている場所もあり愕然としました(7年前は面白いハゼがたくさん見られたのに・・・ )。

石垣のマングローブはまだまだ豊かに見えますが、こうした目に見えにくい問題をはらんでいることを皆さんにも知って頂きたいと思い、あえて紹介させていただきました。
今回のマングローブ調査では私もいろいろ勉強にもなりました。
今回の調査で得られたことを、今後の水族館での活動に生かしてゆきたいと思います。

いつかまた機会があれば、ぜひ、石垣のマングローブを訪れ、昔と変わらぬ姿を拝みたいと切に願いつつ、日誌を締めくくりたいと思います。

素晴らしい石垣マングローブ全景素晴らしい石垣マングローブ全景

・・・ グッピー(外来魚)・・・ グッピー(外来魚)

・・・ ティラピア(外来魚)・・・ ティラピア(外来魚)

つかまった!ヤエヤマイシガメ(在来種)つかまった!ヤエヤマイシガメ(在来種)

太平洋

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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