2010年04月24日

南西諸島海溝(5)No.5 深海調査航海での最大敵滞在中

  • 期間:2010年4月21日~5月5日
  • 場所:南西諸島海溝
  • 目的:深海生物調査
  • 担当:根本


きょうも天気が荒れ、潜航中止です。
宮古島の影に隠れて過ぎ去るのを待ちます。
島が見えるくらいになると携帯の電波が入り始めるため後部格納庫の出口には電波を求めて人が集まります。

さて、きょうも基本的にはきのうと同じくサンプルやデータの整理をして過ごしましたが、きょうは午後からセミナーが開かれました。
船員さんとハイパードルフィンの運航チームの方々を招いて研究者が口頭で研究発表をおこないます。
発表の題材は本航海に関連するこれまでの研究成果です。
このようなセミナーをおこなうことで、イメージの共通化ができ、ますます調査を円滑に進めることができるようになります。
今回の話は沈木や鯨骨の周りに発生する生物群集についてのお話でした。
生物が死に、海に沈むと浅いところでも深い所でも生物が集まります。
どのような物に、どのような生物が、どのくらいの個体数集まるのか?そしてどれくらいの時間をかけて消費していくのか?また生物の種類が時間の経過に伴ってどのように変化するのか?
これらのことが、木や骨を深海底に設置しているこの航海においても大きなテーマとなっています。
水族館職員としては、その状態を上手に使って水槽内に現場の環境を再現したいところです。
このお話は非常にためになりました。

セミナーが終わると再び生物のサンプル整理と写真撮影。今回は種類が多く、小さいものが多いので大変でした。
揺れる船上で小さい生物を映すのは難しいのですが、できあがった写真のピントが「バシッ!」と合っていた時、これはもう最高に嬉しい瞬間です。
このようにして撮った写真は、種の同定をしたり、アルバムを作り他の航海で採集された生物と比較したりするのに使用しています。
種の同定はとっても難しいです・・・、
ほとんどの生物はその種名までたどり着けません。
深海という環境もあり、図鑑に載っていない生物が多くすっきりしないことが多い作業です。そのぶん、種まで同定できた時は嬉しくて疲れも吹っ飛びます。

[きょうの写真]
上/セミナー講演者
下/セミナーを聞く船の方々

(C)JAMSTEC(C)JAMSTEC

(C)JAMSTEC(C)JAMSTEC


海洋研究開発機構(JAMSTEC)NT10-07「なつしま/ハイパードルフィン」による南西諸島海溝深海生物調査航海

新江ノ島水族館は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています。

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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