2013年04月03日

房総沖・相模湾初島沖(2)航海日誌 4月3日 2日目

  • 期間:2013年4月2日~2013年4月10日
  • 場所:房総沖・相模湾初島沖
  • 目的:船上飼育及び輸送方法の開発、シロウリガイ類などの化学合成生態系生物の化学合成生態系水槽における長期飼育及び行動観察
  • 担当:杉村


みなさん!こんにちは。きょうは調査潜航初日です。
相模湾の初島沖 900m付近の湧水域の調査です。
ここは、シロウリガイやハオリムシの仲間の群生地が点在している海域です。
また、付加帯ともいわれる場所でプレートが地下に沈み込んでいる場所で、海底から硫化水素やメタンなどがしみ出しています。
このしみ出している硫化水素やメタンを利用してシロウリガイやハオリムシなどの化学合成をおこなう生物が生活している場所でもあります。

化学合成については、この日誌を読んでいただいているみなさんでしたら、お分かりかと思いますので、あえて説明は省きます。
(分からない方は、あすにでも“えのすい”の深海コーナー「深海l~JAMSTECとの共同研究~」へ足を運んでみてくださいね。・・・と、さりげなく宣伝をしておいて・・・。)

きょうも朝から小雨が降り注ぐ寒い朝でした。
初島沖には朝から暴風警報が出ていて調査ができるか不安でしたが、予定通り午前8時、ハイパードルフィンは、順調に潜航をはじめました。
きょうの相模湾は流れが速く、マリンスノーが非常に多かったです。
300m付近には小型のイカの仲間やエビの仲間が多数遊泳し、700m付近から牡丹雪のようなマリンスノーが大量に降り注いでいました。
ライトに反射した有機物の固まりが、本当に雪のようでした。
海底に着いてもマリンスノーは降り止みません。
マリンスノーが降り注ぐ中、海底にぼやっと白い広がりが見えたかと思うと一面にシロウリガイです。
この光景は、何度見てもグッと来るものがありますね!!
その近くを大きなエゾイバラガニやアナゴの仲間、ソコダラの仲間が時折通り過ぎてゆきます。
潜航中は実験用にサンプルを採集したり、泥を取ったりとコントロールルームで研究者のみなさんの声が響きます。
心配された暴風警報の影響もなく、夕方まで調査を続けることができました。
とても幸運でした。

調査終了、よかった、よかった。
・・・といいたいところですが、実は・・・わたくし・・・この調査中・・・ちょっと・・・ダウンしてしまいました。
朝から調子が思わしくなかったこととハイパードルフィンのコントロールルームの冷房(コントロールルームは機械を冷やすためにクーラーをかけていてとっても寒い!!)の影響もあり、お昼から午後3時までベッド行きでグッタリ・・・。
これまでトロール船をはじめ、いろいろな船に乗船しましたが、ダウンすることがなかったので、正直ショックでした。
トホホホホ・・・
でも夕方にはちゃんと復活して、私の仕事であるサンプルの管理をしっかりやって、この日誌を書いていますよ。

そんなこんなできょう1日、なんとか終えることができました。さてあすは、どんな1日になるのでしょうか?
楽しみです。

では、次回まで。

マリンスノーマリンスノー

コントロールルームコントロールルーム


海洋研究開発機構(JAMSTEC)NT13-07JAMSTEC「なつしま/ハイパードルフィン」による房総沖・相模湾初島沖調査航海

新江ノ島水族館は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています。

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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