2013年04月07日

房総沖・相模湾初島沖(6)航海日誌 4月7日 6日目

  • 期間:2013年4月2日~2013年4月10日
  • 場所:房総沖・相模湾初島沖
  • 目的:船上飼育及び輸送方法の開発、シロウリガイ類などの化学合成生態系生物の化学合成生態系水槽における長期飼育及び行動観察
  • 担当:杉村


みなさん!こんにちは。

きょうは大変な風でしたね。
陸の方では、電車が運休している線もいくつかあったようですが、みなさんの周辺ではどうでしたか?
東京湾に停泊中の「なつしま」のまわりは、強風で一面に白波がたっていました。
船が大きいせいか、それともきのうまでの揺れが激しかったせいなのか分かりませんが、それほど大きな揺れはなくパソコン仕事も気分が悪くなるようなこともありませんでした。

きょうは、これまでの潜航で見られたとっても小さな生物をちょっとご紹介しましょう。
そのほとんどが大きさ 5mm~数cmの小型の生物たちです。

初島沖水深 900mの海底には、先日の日誌でも書きましたがシロウリガイのコロニーやヒバリガイ類のコロニーが点在しています。
そのコロニーの中をハイパードルフィンのカメラでアップにして見ると、シロウリガイやヒバリガイ類の殻の上に 1cm程度の小さな貝の仲間がたくさん付いているのが見えます。
「ワタゾコシロアミガサモドキ」やタニシを米粒くらいに小さくしたような「サガミハイカブリニナ」たちです。
1つのヒバリガイの上に多いときでは十数個付いてます。
(この小さな貝たちは、“えのすい”の深海Ⅰ~JAMSTECとの共同研究~にある化学合成生態系水槽の中にも生活しているのでよ?く目をこらして探してみて下さい。)
さらにコロニーの中を観察していると、その隙間をにょろにょろとドジョウのように動く魚がいます・・・「ゲンゲの仲間」です。
大きくても 10cm程度で、まだ名前が無く、目がクリッとしたかわいらしい魚です。
さらには、真珠のようにキラキラとした 1cm程度の殻を持つ巻貝の仲間「シンカイシダタミ」などが目に付きます。ゴカイやウミグモの仲間なども・・・。
初島沖の海底にはシロウリガイやヒバリガイの仲間だけではなく、とても小さくて多くの生物たちも一緒に暮らしています。
大きな生物たちに目が行きがちですが、こういった小さな生物に直目してみるのもなかなかいいものです。
そんな彼らもシロウリガイたちと同様に謎も多く、研究もあまり進んでいない生物たちです。
今後、飼育をしながらその不思議の一端が解明できたのならとても嬉しく思います。

さあ!本航海も終盤に入りました。
調査潜航日は残りあと2日です。
あしたから本格的な調査再開・・・と行きたいところですが、未だ風の影響は否めません。
どうか風よ、吹かないで!!

では次回、果たしてハイパードルフィンは潜航できるでしょうか。
乞うご期待!!

強風で「なつしま」同様に東京湾に逃げてきた「かいよう」強風で「なつしま」同様に東京湾に逃げてきた「かいよう」

ゲンゲの仲間ゲンゲの仲間

シンカイシダタミシンカイシダタミ



海洋研究開発機構(JAMSTEC)NT13-07JAMSTEC「なつしま/ハイパードルフィン」による房総沖・相模湾初島沖調査航海

新江ノ島水族館は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています。

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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