いよいよ放流日です。
放流前にタグを付けるのですが、このタグはウミガメが再捕された時に「いつ」「誰が」「どこで」放流したのか?が分かるようになっている情報が記されております。それを調べる事により、行動範囲などの動向調査や、その時の体の大きさで、成長具合なども知ることができます。
今回付けたタグは、2種類でした。
(1) 標識タグ
ヒレに付けることにより、見てすぐに分かりますが、経年劣化で外れてしまったり、文字が擦れて消えてしまうことがあります。
(2) インナーチップ
皮下に埋め込むことにより、体から外れることはありませんが、専用の読み取り機が必要です。
まず午前中に、全 34頭にこの 2種類のタグ付け作業です。
標識タグは左前肢の後ろ側(皮膚が薄くなっている所)に穴をあけ、標識を差し込みますが、皮膚が薄くなっているので、出血はありません。
インナーチップは、少し太めの針(直径 3mmほど)の中に小さなチップが入っており、注射をする要領で、後ろ右肢の皮下に埋め込みました。
今回は 34頭の内、10頭は黒島研究所でしばらく飼育をし、もう少し成長させてから放流をします。
午後からは、残り 24頭を 2つのグループに分け、12頭は「西ノ浜」という砂浜を歩かせて自ら海の中に入っていくスタイルを取り、もう 12頭は、仲本海岸付近にあるサンゴリーフに直接放流をし、泳いでいくようすも写真や映像に残すことができました。
なぜ 2つのスタイルで放流をしたかというと、ウミガメは砂浜を歩いている時に磁場を読み取り、その土地を知る、といわれていることもあるため、歩いて海に入ったパターンと歩かずに直接海に入ったパターンで検証ができれば、という思いからです。
また黒島研究所に残した 10頭は、甲羅の長さが 40cm位まで成長させてから放流予定です。
それは今回放流した 20cmサイズの時はもっと沖合で生活をしており、40cm位のサイズになると、島の沿岸域に戻ってくるというデータがあるため、生存率に違いが生じるのか?という検証もおこなう為です。
とにかく、“えのすい”では個体管理の為に個別飼育をしており、自由に泳ぐことが無かったので、こうして大海原に向かっていく姿や、広い海を真っすぐ進んでいく姿は感動的でした。
大きく成長をして、データを提供してくれることを楽しみにしたいと思います。
浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら
どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。
打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。
浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。
どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。