2016年11月14日

西部北太平洋調査航海(5)航海日誌5日目

  • 期間:2016年11月10日~11月25日
  • 場所:西部北太平洋
  • 目的:「海洋酸性化の進行とその影響に関する研究」及び「海底電磁気観測による津波の早期警戒」
  • 担当:杉村


午前4:00、枕元に置いた iPhoneのアラームが鳴った。
あ~眠っ!!
眠い頭とまだ動きの鈍い身体を動かして、揺れる船内の壁に肩を当てながら2階にある上甲板(6Kの格納庫)に向かいます。


本日の朝日

上甲板では既に切り離しの信号が送られ、観測器が海底から浮上を開始していました。
観測野帳には船からの距離がメモされていて、観測器までの距離は3,600mと記されていました。
順調に浮上中とのこと。
数分おきに送信器より観測器に信号を送ると、きのうとは打って変わって力強く「ピー!ピー!ピー!・・・ 」と返事がかえってきました。
船との距離が縮まったからだそうですが、くっきりと通信音が受信できますがきのうのか細い音を聞いているので、とても元気よく耳に届きました。
聞くところでは3年半ほど前に海底に設置されたそうです。
そんな話を聞いていたので「ピー!」という電子音ですが、何となく「待っててね!今もどるよ!」といっているようにも聞こえました。
実際に研究者の方も「暗い海底で一人、迎えを待ってたんですね。」「ちゃんと反応するんですね」と話していました。


電磁気計観測器と通信中

午前7:30、受信機に表示される船との距離が450mほどになって、ほどなくするとブリッジより「発見!!」と連絡がありました。
(船との水平距離が 450mとして表示されたそうです:研究者より)。
船の1時方向だと聞き探しに行きましたが・・・ 私には全く確認できません。
船員のみなさんは普段から海上でこういった観測器を探しているだけあって、さすがですね。
しばらくすると、斜めに傾いた観測器が波のうねりの合間に見え隠れしているのが見えました。
観測器は船員さんの手によってロープに繋がれ、船尾のしんかい6500用のAフレームに吊されて船の上に回収されました。


回収される電磁気観測器

「お帰りなさい。」「待たせたね!」といったところでしょうか。

船上では私のミッションである、観測器の躯体に取り付けたサンプルプレートを無事回収しました。
サンプルの回収をしながら躯体をよく見てみると、細長い筒状の生物の棲管?のようなものがあちこちに付着していました。(現在調査中です)
また、躯体やビニルテープにヒドロ虫のポリプも付着していました。
水深5,600mの深海にも生物がしっかりと生活しているんですね。
深海の調査には、毎回驚くことがいっぱいです。

長い午前中の作業を終えて「よこすか」は、目標地点に向かう(北へ)・・・ どころか、なんと南へ進路を!!
船内WEBの衛星写真画像を見ると、低気圧と思われる大きな雲が二つも!!
この低気圧を避けて南下しているとのこと。

さてこの先、この調査航海はどうなるのでしょう・・・
波乱の航海になりそうです!!
あすはもっと荒れるそう・・・ です。

きょうはこれまで。


スパームーン「よこすか」より


JAMSTEC(海洋研究開発機構)YK16-16 西部北太平洋「海洋酸性化の進行とその影響に関する研究」及び「海底電磁気観測による津波の早期警戒」を目的とした調査航海

新江ノ島水族館は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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